もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

「SPY スパイ」はカッコいい男たちが色あせる

この映画の存在去年まで知らなかった。

日本未公開ということもあるのか、まったく自分の映画アンテナに引っかからなかった。

ジュードロウとジェイソンステイサムが共演しているスパイ映画なんて、絶対観ないと損でしょう!

ということで見ました。

 

SPY/スパイ  (字幕版)

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  • 発売日: 2016/07/20
  • メディア: Prime Video
 

 

正直、期待半分で、コメディを単純に楽しませてもらおうと思っていたのだけど、
面白過ぎた。

ジェイソンステイサムのバカスパイ振りは最高だったし、ジュードロウのナルシストスパイもぴったりだったたけど、それを上回ったのが女たちのインパクト。

 

CIAの分析官で内勤業務だったスーザンは、相棒を失うというきっかけから現場で働く捜査官、ズバリ!銃を片手に走り回る憧れのスパイになる。

核爆弾を手に入れようとする怪しげな奴らと、売ろうとする怪しげな奴らを相手に颯爽と戦うスーザンだが、ぽっちゃり系でテキパキできない、映画の中の女性スパイのようなカッコよさなんて微塵もない。

でも、そのスーザンがめちゃくちゃかわいくてカッコいい。
で、またすごく強い。銃よりも格闘がすごい。頭も切れる。判断力も抜群。
メリッサ・マッカーシーがすごくいい味出している。

 

友人、上司の女たちもいい味出しすぎ。
でもとくにどこが?と言われると困ってしまう。
強いていうとどこにでもいそうだから。
ようするにどこにでもいそうなおばさんたちなのですね。

 

CIAというものすごいところで働きながら、ものすごく普通のおばさんしているという特殊な状況が楽しいのかもしれない。

 

 

 

コメディだからぶっ飛んだストーリーと展開なのだけど、根底にスーザンたちの健気ながんばりが見えるから、見た後心に何か残る。
「がんばらなきゃなあ~」と同じおばさんは思ってしまう。

 

国際的なスパイになれて夢がかなったスーザンだけど、けしてサクセスストーリーっぽくないのは、ラストにスーザンが恋する相手にかける言葉と態度からも感じる。

何もかも手に入れてしまったら、きっと人生なんて面白くない。
ぐいぐい酒飲みながら、友達と愚痴言ったり文句言ったりしている時間がとても幸せなのだ。

普通のおじさんおばさんで無くなってしまったら、きっと失うものも大きいような気がしてくる。かっこよすぎる、浮世離れしすぎると、逆にきっとカッコ悪くなる。

 

けど、浮世離れしすぎてる敵の派手な女もかなり面白い。
目くばせ1つで簡単に部下を制裁したり、贅沢三昧やりたい放題のろくでもない女なのだけど、嫌いになれない独特なキャラの濃さ。

 

ジュードロウとジェイソンステイサムが色あせて見えてしまうほどの、いい女たちに笑わせてもらいました。

楽しかった!

 

 

「マネーボール」でプロ野球に夢を見たい

野球ファンとしては、やはり見ておかなければなるまい。

 

マネーボール [Blu-ray]

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  • 発売日: 2012/03/21
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メジャーリーグが舞台の映画は明るく華やかな表舞台のぶっ飛んだ話が多いイメージだけど、これは地味な裏側の話。

メジャーリーグの中の極貧球団「アスレチックス」は、いい選手を育てても、金の力でどんどん有名球団に引き抜かれていく。

もはや貧乏球団が勝てる術はないと落胆していたジェネラルマネージャーのビリーは、“セイバーメトリクス”というデータ野球を取り入れてチーム作りを始める。

選手の評価を出塁率などのデーターで判断し、格安の選手たちを取り入れていく。必ず反対する古参の連中との確執、他球団との選手の売り買いの様子は見ていて飽きない。長い時間にも関わらず、退屈する間がなかった。

 

 

 

たぶん、プロ野球に興味のない人にはいまいち――どころかさっぱりだったろう。プロ野球が好きでも、自分の好きな球団の勝ち負けだけで、他の球団のことはどうでもいいタイプのファンにも絶対評価は得られなかったと思う。

この映画に華やかさは無いからだ。結果を言うとビリーの試みを功を奏する。そのあたりは劇的なのだけれど、バリバリのエンターテインメントさは感じない。それはやはりこれが現実にあった話であるというところの、シビアなお金の話に終始するからだ。

それにしても、メジャーリーグのゼネラルマネージャーと日本のそれとは、絶対違うものなのだろうなあと思った。ビリーの一存で選手をバンバン首にし、監督さへもだまらせてしまう権限と、それに伴う責任感と根性の強さがあるとは思えない。

日本の場合(もちろん一概には言えないけど)、そんな権限を持つ者は、もっと違うところに存在するように思う。

 

 

お金と経営、生活の現実をプロ野球という夢の世界で見せつけられる話ではあるが、ラストはやはり「お金じゃないよ」というところに持っていくのが、アメリカっぽいなあという感じ。

「ほんとにあった話?!」と驚かされる内容だけど、映画のラストの字幕だけで報告されたビリーの選択。冒頭の字幕「人はプロ野球に夢をみる」がここでドーンとこたえてくる。

ドクタースリープで映画を2本みた気分

2本の映画を合体させたような奇妙な構成で、評価が分かれるのもわかる気がする。

「シャイニング」の思い入れが激しい人、見たこと無い人、はるか昔に見たけどすっかり忘れちゃった人、だいたいそんな括りで評価が分かれがちだけど、これに関しては当てはまらない気がする。

 ずばり、人による。

前半でまず戸惑うのは、少年ダニーが持っていた“視える”という霊能的な能力の展開と、周りで繰り広げられていく化け物の跋扈が、頭の中で分離してしまうということ。

この化け物たちはかつて異能力を持っていた人間であったということを忘れてしまうほど宇宙人的で、それと戦う超能力少女もまた存在感満載で、ワクワク感はあるけど、ホラーのゾクゾク感はない。
でも内容は面白くてこれがシャイニングの続編であることをすっかり忘れていた。

 

大人になったダニーは、アル中ですさみきった人間になっているけれど、なんでそんなにすさんでしまったのか想像するしかない状態で、いまいちぴんとこない。

で、あんたは霊が視えるだけじゃなかったのかと突っ込みたくなるくらい、恐ろしいパワーを持つ超能力者になっている。

で、少女とダニーおじさんが力を合わせて戦うわけだけれど、化け物グループの最後の1人が残るまで、シャイニングのことは頭に過らなかった。

 

 

そして後半。
ダニーが最後に戦いの場に選んだのがあの忌まわしきオーバールックホテル。
ホテルに向かう道の上空からの映像で、一気に脳がシャイニングに持っていかれる。

見たことのあるカットと音楽は、ゾクゾク感を伴って一気にホラーの世界に心を引き寄せる。

とにかくここからは、出てくる登場人物、場所、小道具にいちいち「ヒャーヒャー」喜び、あまりのサービス満載に戦いのストーリーが半分以上頭に入ってこない。

ダニーがかつてここで起こった事件を回想するカットは、前作のものも混じっていると思っていたのだけど、なんと新たに同じものを撮り直したのですね。ええー!とびっくりするほどそっくりなカットも。

キューブリック映画好きの変人(同類の人すいません)の娘が、化け物のリーダーがかぶっている帽子は、「時計仕掛けのオレンジ」のオマージュだと叫んでいましたが、そうなのでしょうか。

 

 

DVD鑑賞は、メイキングも楽しみの1つなのだけど、監督が嬉しそうに三輪車に乗って、あのお馴染みの模様のカーペットの廊下を走り回っている姿はうらやましかった。

ーやってみたい。

そして、何より気になったのが、原作者のスティーブン・キングがコメントしている場面で、彼が着ていた「オーバールックホテル」のまるでおみやげ用みたいなさりげないTシャツ。

ーほしい。

今更ながらバタリアンの意味を初めて知った。

今でもゾンビ映画の名作やランキングとなると、かなりの頻度で登場する「バタリアン」。

 

バタリアン [DVD]

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  • 発売日: 2004/04/02
  • メディア: DVD
 

 

オバタリアン”という当時の流行語の元となったことでも有名。
この映画を初めてテレビで見たのは、いくつの時だったのかはっきりしないのだけど、「面白かった」という印象だけは覚えていたので、いつかまた観ようと思いつつ、なかなか機会がなかった。

 

今回長くてヒマな連休にレンタル。
人気映画は回ってこないこの時期だけど、バタリアンはさすがに速攻来たぜ。

 

人間の死体や動物の死体が新鮮なまま保存されている医療関係の会社。そこで働くことになったフレディは、ゾンビ映画「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」が実話であるという話を上司から聞かされる。その時の死体が今もこの会社に保存されているのだと…。見せてやるという上司について地下室に下りていったフレディの目の前に信じられないものが容器に保存されていた。しかしよりによって保管の容器からガスが漏れ、2人はそれを全身に浴びてしまうことに…。

その後はお決まりの展開で、墓場に蔓延したゾンビガスが、みごとに大量のゾンビを出現させるという流れになっていく。

 

 

で、今回初めて知ったこと。今更ながらのことだと思うので、お恥ずかしいのですが、この映画が「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」のパロディだということ。
なるほど、今見ればよくわかる。たぶん当時は、ゾンビ映画が苦手だったので何にも知らずに素直な心で見て、面白かったんだろう。

いろんなタイプのゾンビが出てくることで有名なこの映画の中でも、やっぱり極めつけのスターは中盤に出てくる“おばんば”ゾンビ。くねくねと骨を動かしながらしゃべるゾンビは、その特撮技術と共にかなりのインパクトがあったと思われます。
そうなんですね。これに出てくるゾンビしゃべるんですね。

 

もう1つ初めてわかったこと。
字幕の中では「バタリアン」と呼んでいるにも関わらず、実際のセリフの中に「バタリアン」という言葉がまったく聞こえてこない。英語はわからないけど、それでも「あれ?」と思って何度も聞きなおしたが、やっぱり出てこない。

後で調べると、「バタリアン」というのは邦題だったということを知って驚き。
原題は「リターン・オブ・ザ・リビング・デッド」。
バタリアンというのは配給会社が、独自につけた日本用の名前だった。これも知らなんだ。


で、どういう意味なのかというと「大群」という意味の言葉なのだとか。確かに納得。これに出てくるゾンビたち、常に大群。しかも動くスピードがめちゃめちゃ速い。助けを呼んでも、警察が来ても、あっという間に大群ゾンビに襲われてやられてしまう。何の役にもたたない。拳銃もってようが、車に乗ってようが関係なし。

 

 

邦題は基本気に入らないことが多いけど、この映画に関しては文句が出てこなかった。まさに彼らはバタリアンなのだ。
どんな武器を持っていても、彼らの数の力には太刀打ちできない。
大群の恐怖を表すゾンビ、それがバタリアンだった。

 

数の力は強い。強いけど怖い。
一匹だとなんてことも無いバッタも、大群になると人間の生活や地球の環境にさえ影響を与える凶器になる。

今この時期の地球は、世界のいろんなところで、いろんな大群が生まれやすいように思う。それってすごく恐ろしい。誰もが不安で攻撃的になっている状況の中では、簡単に襲われ食われてしまう。
時期が時期だけに、暴れ回るバタリアンの大群を見て、予想外にいろんなことを重ね合わせて考えさせられた。

 

バタリアンがゾンビであれ、人間であれ、どっちが正しくても間違っていても、結局この映画のラストはーー

 

それが真実なのですね。

 

 

「甲賀忍法帖」の荒唐無稽で壮絶な忍者の魅力に酔う!

「忍者!」「伝奇!」といえば“山田風太郎”といえるほど、現代の忍者像に影響を与えたその世界のパイオニア的存在。

しかし私自身は、山田氏のもう一つの世界である歴史もの、時代ものが好きなので、どっちかっていうとそちらの方に傾倒していて、忍者ものはさほど多く読んでいなかった。

魔界転生」と「明治十手架」くらいなかあ。(もうこの2つは超ド級の面白さ!)

 

で、今回数ある忍法帖シリーズの始まりにして傑作の「甲賀忍法帖」を読んだ。
旅先で入ったいい感じの古本屋さんで見つけたもの。

ここんとこ面白くない本ばかりに当たっていたので、間違いのないものを読んで気分を盛り立てようと家の中の未読の積み上げ本から選んだのだけど、大正解。
盛り上がるったらないわ。しんどい現実から大逃避させてくれる夢の世界。伝奇ものは正直ほとんど読まないのだけど、風太郎忍法は別。

 

甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)

甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)

 

 

ストーリーとしては単純。長年の宿敵である甲賀一族と伊賀一族が死闘を繰り広げる物語。敵対していた甲賀と伊賀。しかし突如出現してしまったロミオとジュリエットのような恋人たちのおかげで、不承不承仲直りしなければならない状態になっていた両一族だったが。


突然降って湧いた徳川家康の荒唐無稽な愚案。
世継ぎを選ぶくじ引き代わりに、甲賀と伊賀を戦わせるというわけのわからないもの。

しかし、悲劇的なのはロミオとジュリエットの二人だけで、元々仲直りなんぞしたくもないまわりの者たちは、嬉々としてこの命をかけたくじ引き合戦に挑んでいく。

 

正直、この物語はとても不思議な造りになっていて、主人公は誰?となると、浮かばないのですね。当然恋人同士の二人であるんだろうけど、ものすごく影が薄い。二人の持っている術が派手に戦わないものなのでしょうがないともいえるのだけど、まわりの忍者たちが壮絶で人間離れの過激さなので、薄くなること否めない。

 

蝶を操るもの、顔を変えられるもの、体を変形させてどこからでも逃げ出せるもの、体中吸盤のようになっているもの、
なんてまだまだ序の口で、

ナメクジみたいに体を溶かすことができるもの、情事に誘って興奮した吐息により毒殺するもの、究極が、切られても刺されても体を再生させることができる不死の忍者。

あり得なさ過ぎて面白すぎる。


全員無敵、絶対死なないなんてどうやって戦うんよ?!
と思うのだが、このストーリーの巧みなところは、彼らが実に合理的な方法で相手をやっつけ、そしてやられていくこと。
それぞれの特異な術が、思いつきのいい加減なものではなく、納得のいく方法で巧みに弱みに付け込まれることに感心させられる。

 

SHINOBI [DVD]

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2005年公開の映画「SINOBI」が「甲賀忍法帖」の原作を元にしているとは知らなんだ。正直見てないので、何とも言えませんが、これ読んでからだとちょっと見てみたい。
評価は賛否両論なのだけど、山田風太郎氏の原作はしょうがないのですね。
インパクト強すぎて、頭の中で壮大な世界を描きすぎてしまうから、どうしても納得させられる映画は難しいと思う。

 

でも読んだら絶対「映像化してほしい!見たい!」と思わせるのが、スピードとリアルに満ちた山田ワールドの魅力。

だからね、レビューにも書いてあったけど、別のものだと思えばいいんです。
原作はいったん頭から外し、映画として楽しむと面白いはず。
魔界転生」もそうでした。当然原作の迫力には到底かなわない。
でも、面白かった。あれの場合、役者さんたちの為せる技でもあるけど。

 

しばらくはまりそうだな。忍法シリーズ。
世界中にその魅力を伝えた山田風太郎ワールドの忍者たち。
しばし、コロナと戦う我らにも力を!

殺されるバースデーを繰り返す…怖い設定なのにとにかく笑える

「私的には『スクリーム』とならんだ」と勧められて見た映画。

 

ハッピー・デス・デイ [AmazonDVDコレクション]

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すっぱりはっきり言ってしまうと、「すごく面白かった!」
映画そのものの面白さという意味と、笑わせてもらえた面白さ。両方。

 

女子大生のツリーが、男子大学生カーターの部屋で目覚める朝から、物語は始まる。
カーターのことはまったく記憶にない。昨晩酔っ払って転がりこんだらしい。
ツリーは、かなりの遊び人でチャラい上に性格も悪い。
戸惑いながら優しく気を使うカーターのことも冷たくあしらい、とっとと寮に帰る。
本日はツリーの誕生日。その晩も懲りずにパーティーに出かけるが…。

 

ツリーはその日、何者かに殺されてしまうのですね。
ところが、彼女は目覚める…その日の朝と同じカーターの部屋で。
すべての出来事が昨日と同じように展開していく。
そして再びパーティーに出かけた彼女は再び何者かに殺される…

 

延々繰り返されるこの連鎖。普通なら飽きます、この展開。
でも飽きないんです。何度みても新しい1日が面白い。
要因は、ツリーのキャラ。どんどんキレていく彼女のキャラが壮絶に面白い。
最初はどちらかというと、「うっとおしいタイプの主人公」だと思って見ていた彼女のことが、どんどん好きになっていきます。
他のキャラ達も凝っていて、すべてが個性的で楽しい。そう、確かにスクリームっぽい。

もう一つの要因として、殺され方がバラエティーに富んでいて毎回違うので飽きない。さて、今日はどんな殺され方だって楽しみになっていたりする。
「そうきたかあ」

 

 

 

続編が出来たのもうなずける面白さ。
しかも、冒頭から凝っていて「え、こいつが今度主役!?」と予想外の人物の展開から始まる。
「え、ツリーは今回端役?」と不安になっていたら、とんでもない!
またもや殺人の被害者になりまくる。続編はストーリーも複雑で前回のキャラもしっかり絡んで登場し、満足満足。
できれば、パート3も望む。

 

笑えるホラーは、コメディとは違う世界観があって大好きですが、つまんないのはつまんないからなあ。あまりに残忍すぎるのも逆にちょっと辟易するし。
この映画は、ツリーが何度も被害者になるのに、残忍さを感じないのは、殺される瞬間が映像として出てこないというホラーにしてはめずらしい特異性にあるから。

 

とにかく、壮絶美しい彼女のプロポーションと目の下真っ黒にして頑張る姿が、笑えます。

 

“ばあちゃんの場面”が一番怖かった

とっても楽しみにしていた「IT THE END」

絶対面白いだろうと思っていたけど、予想どおり面白かった。

 

 

 

 

前作にも増してペニーワイズの存在感がすごい。
逆に言えば、ペニーワイズ無くしてはあり得ない。というか、「ビル・スカルスガルド」でなければあり得ない。あんなにカッコいいのに。

 

子供目線のドキドキ感なので、「ひゃーひゃー」言いながら見れるけど、「ひぃー」という怖さはない。ただ一箇所、何が怖いって中盤で出てくるばあちゃんが1番怖かった!

ベバリーが昔住んでいた家を訪ねる場面で、現在そこに住んでいるばあちゃんが…
あの動きったら……
あの表情ったら……

この映画の中であのシーンだけ空気感が違う。
死霊館」みたいな感じ。
子供目線で見ると、「あ、なんかこのばあちゃんおかしい」って気づくレベルで、怖さまでいかないのかもしれない。むしろ正体を現した時の方が怖い。
でも大人目線で見ると、正体現す以前の方が怖い。
あのばあちゃんの怖さは実はとても現実的で、居てもおかしくない人の怖さ。

変な動きの変な人は、子供にとっては「奇妙、好奇心、何かあるぞ」という対象。その後に起こる恐怖への予感。
大人にとっては「ひいー、危ない危ない、普通じゃない」で、ひたすら怖い怖い。その人の今の状況が怖い。

 

ミラーハウスも怖かった。子供の頃、母親の実家の近所の遊園地にあったのでよく行った。さほど怖いとも思わずけっこう好きだった。
真ん中に化け物のマネキンが立っていて、それが不気味なんだけど、迷路の目印にもなってて。
ミラーハウスも大人になった今の方が怖いかも。
ただの鏡なのに、いろんなよけいなこと考えてしまうからだろうな。ただの迷路ではなく。

 

前作同様ノスタルジーいっぱいのホラー。
子供の頃の友達って、ただ漠然と友達だったっていうより、何か小道具や風景と繋がってることが多い気がする。
これを見たらあいつのことを思いだす、とか、ここに来たらあの子のことを思いだすとか。

会ったら幻滅するやつもきっといるだろうし(自分も含め)。
映画のラスト近くで、ガラスに映った彼らのように、いつまでも記憶の中の少年少女でいようよ。

 

それにしても、続編とはいうものの、前作見てないとさっぱりわからないんじゃないかな。この映画の展開。