もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

男が見たくない女の裏面「シカゴ」

ただでさえ男はミュージカルが苦手な割合が多いというのに、この映画ときたら女が少しも可愛くない。なんせ出てくる女のはほとんどは、男を殺した殺人犯たち。

 

だからこそ小気味よい。冒頭、ヴェルマ(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)が、クラブで歌って踊る「オールザッツジャズ」をバッグに、ロキシー(レニー・ゼルウィガー)が、不倫相手をぶっ殺す場面から物語は始まる。

ヴェルマも実は旦那を撃ち殺した直後に、素知らぬ顔で歌って踊っていたのだ。かくして二人は刑務所で出会う。そこには同じようにすごい女たちが当然のことながらたくさんいて。

 

 

彼女たちが自らの犯罪の様子と動機を歌って踊る「Cell Block Tango」は圧巻のカッコよさ!みんな大胆な格好で色っぽさ炸裂してるのに全然エロくない。群を抜いているのがやっぱりキャサリン・ゼタ・ジョーンズだなあ~。あの迫力には惚れる~

 

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 対してロキシーはひたすら可愛い。たぶん男好きするタイプ。それを自分でもわかっているから利用して、踏みつけて、のし上がっていく。

 

看守のボスであるママの迫力満点の歌も、何回でも聴ける。囚人からワイロもらって便宜はかって、堂々としてるふてぶてしさ。

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この映画にはほとんど男が出てこない。唯一凄腕弁護士のビリー(リチャード・ギア)は、法外な値段で仕事を請け負い、女囚たちを利用するアコギな男。

 

  そしてもう一人、ロキシーの旦那エイモス(ジョン・C・ライリー)の哀れなこと…。存在の薄すぎる自らの身の上を歌う「ミスターセロファン

セロファンて…」とあまりの表現のウマさに感心した。

 

この映画をみて思ったんだけど、つくづく女は一人でも生きていけるものなんだなと。自分の利益だけで動くという部分は男も持っているけど、男だけが群れている映画にはなぜかたいがい孤独感がつきまとう。

反して女だけが群れている映画にそんなものは感じない。おそらく男子校より女子校の方が下世話であるというのに似てる。

  アカデミー賞を総なめにした名画であるが、意外と見てないという人も多い。ミュージカルの歴史が欧米に比べて浅い日本人にとっては、まだまだミュージカルといえば子供と動物が歌って踊る的なイメージを持っている人も少なくないはず。

特に男性に苦手な人が多いのは先に述べたが、実際「会話にいきなり抑揚がついて歌いだすのについていけない」「見ているとなんか恥ずかしくなる」という意見も。

それはそれでいいと思う。このすばらしい悪女の世界に男なんか入ってこなくてもよい!ミュージカルプラス、男が見たくない女の一面をめいいっぱいさらけ出した名作「シカゴ」のカッコよさは、女だけが理解しておればよいです。