もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

化け物そっちのけの怖さ「ディセント」

化け物ホラー映画の場合、最後まで生き残るのが女というパターンが多いが、化け物と戦うのが全員女というのも珍しい。

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主人公サラは、交通事故で夫と子供を亡くす。これがまたホラーっぽい残虐な死に方。

打ちのめされて立ち直れないサラに、一年後友人たちから声がかかる。いっしょに“探検”しないかと。(確かサラたちは学生時代その手のクラブか何かの経験があったような気がする)

昔馴染みに初対面のメンバーを加え、六人でサラは“簡単な洞窟探検”に挑むことになる。暖かく明るい友人たちが作ってくれる雰囲気に、癒されそうなサラだったが、そうは静かに終わってくれない。

ガイドブックにも載っている簡単な洞窟であるはずの場所は、実は前人未到の知られざる洞窟だった。しかも、知らないでまぎれこんでしまったわけではなく、企画した友人が自分の興味本位でみんなをだまして連れ込んだことが判明。

そこから、女同士の空気感が微妙になる。明るく暖かい空気はどこへやら。予想以上に複雑な洞窟の上、崩落、ケガも重なり、勝手に入ったことで申請もしていないため救助を期待することもできない状況の中、彼女たちは当然パニックに。

そして現れる化け物…

この化け物がまた気持ち悪い。真っ黒な洞窟で中々はっきり姿が見えない。懐中電灯で照らされた瞬間見える真っ白な全身の異様な姿…

ホラー映画のお約束として、ここから順に襲われていくのだが、ここで活かされる別の怖さ。仲間どうしの諍いやケンカなら、極限状態では男だろうが女だろうが関係ないが、この場合彼女たちの中には複雑な事情が絡んでいた。そこから生まれる嫉妬、復習、隠し事…

最終的には化け物そっちのけの壮絶な愛憎劇が繰り広げられる。架空の物語であるホラーにはない超現実的な怖さの余韻が残る。

女は怖いというのが、この映画の感想でよく言われている。確かに最後の対決は怖いが、もっと怖いなあと思ったのは、この旅になぜサラは誘われたのだろうということ。サラにある複雑な事情をみんなは知っていたのか? 少なくとも秘密を暴露した友人が一人はいたのだ。本当にサラを元気づけるための計画だったのかと疑わしくなってしまう。

男どうしは会わなくても友達であることに変わりないけど、女同士は会って抱き合ってても友達であるかどうかわからないという、かつてどっかで聞いたことを思いだして、つくづく怖くなったホラー映画でした。