もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

悲しいジェイソン・ステイサム

アクション映画は元々見て楽しむ部分が多いので、
長々と聞かせるセリフを主人公がしゃべるというのは少ないと思う。

ハードボイルドな人物だとよけいに口数が少ない。
闘うことが多いジェイソン・ステイサムは、必然的にそんなイメージが強いが、
悲壮感漂うこんな映画には、その寡黙さと眉間に寄せるシワが、より一層悲惨さを募らせる。


ハミングバード(字幕版)

ハミングバード(字幕版)

  • 発売日: 2014/10/02
  • メディア: Prime Video


ジェイソン・ステイサムの映画ということで、
アクションを期待して見た人は、だいたいがっかりするみたいだ。
アクションが少ないだけでなく、この映画は暗い。そして重い。

中東での戦士としての悲惨な経験に苦しむ男が、通常の生活に戻れないままホームレスとして生きている。
ある日、ホームレスを食いものにしている悪党から逃げだし、
たまたま飛び込んだマンションが長期の留守宅だったことをきっかけに、彼の奇妙な闇の生活が始まる。

マフィアに手を貸し、残忍な場面を目の当たりにするときの眉間のシワは、
戦いのシワではなく、苦しみと諦めの複雑な感情を表している。


ハミングバードカフリンクス

ハミングバードカフリンクス

  • メディア: ジュエリー


闇にうごめく中国と、呆れる体制のロシアが生々しい。
感情をあまり出さない主人公だけに、ラスト近くに泣き崩れるシーンが最高に効く。
そして写真の中だけに残る満面の笑顔は、
今までに自分が見た範囲でのジェイソン・ステイサム史上、最高に悲しい。



こんな感じのドーンとくる重い映画は、若い時にみるほうがいい。
後を引く重さに耐える力が心身ともに備わっているから。
そしてきっと心の栄養になるから。
年くうと重さに耐えれる体も心もなくなっていく。だからしんどい。
もうそんなに栄養もいらない。できればあっさりしたものの方がいい。


でも涙腺だけは緩くなるから、パンダの画像見てるだけで涙出てきたりすんのよねえ。