もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

ペンタゴンペーパーズに見る壮絶なマスコミ

コロナパニックのさ中、うちの母親は毎日ワイドショーばかり見ている。

始めの頃は、「怖いねえ~」レベルだったけど、日がたつにつれてコメントに変化が現れる。

「コロナは中国に生息している化け物から発生したらしいよ」

いったいどんな報道見てるんだか。

 

日を追うごとに熱を帯びてきて、「イタリアよりは日本は医療技術が優れているーー」みたいなことを電話で力説していた。

それを聞いたあとで、近所のスーパーにいったらおばちゃん2人が「イタリアの医療技術はーー」と母親と同じことを話していた。今日のワイドショーのテーマはそれだったんだなと思った。

 

段々「外に出るのが怖い」と言い出し、「買い物に行くのが怖い。食パンが無い」と言うので、「行ってこい!」と命令を下し、「あんまりワイドショーばかり見ないほうがいいよ」と助言しておいた。

 

最近は、若者たちの悪口を言いだしている。世界中どこも同じようなもんなんだろうけど。ワイドショーを批判するつもりはない。見る人も批判はしない。ひっくりかえりそうなほど質の悪いバラエティーよりもよっぽどマシだと思う。

 

でも実際、かしこい人たちばかりが見ているわけじゃない。理解力がおとろえまくっているうちの母親のようなばーさんたちも見ているわけで。私自身見ていないので何とも言えないが、中国に化け物は住んでいないと思うし、そんな報道はしていないと思う。

 

 

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 (字幕版)

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 (字幕版)

  • 発売日: 2018/06/22
  • メディア: Prime Video
 

 

 

前置きが長すぎたけど、そんなさ中に「ペンタゴンペーパーズ」を見た。

もちろんワイドショーとは何の関係もありませんが、マスコミの凄さをスピルバーグの力と、メリルストリープ、トム・ハンクスの鳥肌がたつような演技で、カッコよく認識させてくれた。

 

「今、医療関係者たちは兵士だ」とどこかの国のえらいさんが言ったが、まさにその通りだと思う。その医療従事者の家族を差別しているというバカもいるみたいで、気の毒なことこのうえないけど。

 

医療関係に加えてマスコミもそうだと思う。情報が何より必要な今、世界中のマスコミは最前線で闘っている。うちの子も放送関係の中にいるので、自分たちが倒れたら影響力が大きいという彼らの必死感がわかる。絶対感染者を出さないという気合が伝わってくる。

「マスクが無いので…」とデカいバンダナで鼻と口を覆っているギャングみたいな人も居たそう。

 

マスコミの言動は、人の心を左右するとは思わない。左右させる“きっかけ”になるのだと思う。ペンタゴンペーパーズでも、ベトナム戦争が間違いであったという国民の意見を表に出すきっかけになった。世界を動かすきっかけを、マスコミは握っているし、それはやはり命をかけた戦いでもあるわけで。送り出したきっかけは、正しいことばかりとは限らないのだから、自分たちにそのまま跳ね返ってくるということもありうるわけだし。

 

メリルストリープのくだした勇断は、それが成功であっても失敗であっても、家族を含め彼女を信じる人たちは、きっと彼女を理解しているし、誇りに思っていたに違いない。

 

今コロナと戦う世界の兵士のみなさん、心の底から応援しています。あなたたちだけが頼りです。そしてマスコミには私たちに考えるきっかけをしっかりと与えてください。かしこい国民たちはきっと頑張れる。

 

 

 

「海外旅行を我慢できないんは、若者ばっかりじゃないで。近距離での接待をともなう深夜の飲食店やショーパブに若者は行かんで。この時期に合コンやってるのんきなプロ野球選手もおるしなあ。うちの旦那の上司が大人数でお食事会したい言い出してるみたいで、困ってるわあ」

と、今日の電話で母親と話そう。