主役や中心人物である場合はなおさらのこと、一瞬しか出ないのに、その存在だけでものすごいインパクトを与えてくれるじーさんばーさんたちが、ホラー映画の中にはいる。
幽霊やゾンビよりも、場合によれば怖かったりする。幽霊やゾンビは不意打ちやヴィジアルの恐さで驚かせるが、じーさんばーさんは予想をくつがえす言動で見ているものを襲ってくる。
でもそういう怖さけっこう好きで。
「ひえー😱」と1度は叫ばせてくれたじーさんばーさんたちを、思いつくまま並べてみました。
1. ヴィジット
真っ先に頭に浮かんだのがこの映画。
「シックスセンス」のナイト・シャマラン監督と「インシディアス」のプロデューサージェイソン・ブラムがタッグを組んだ作品。
姉と弟が休暇を利用して、祖父母と過ごすために田舎町を訪れる。彼らの母は若い頃に家出をし15年以上帰ってはいなかったが、「孫に会いたい」という両親の願いを聞き入れ、姉弟も喜んで出かけた。
祖父母は優しかったが、いくつか奇妙な約束事をさせられる。入ってはいけない部屋や、夜9時を過ぎたら部屋から出ないことなど。
この時点で、見ている側は絶対約束を破ることを確信する。あんのじょう子供たちはこの家の様子がはおかしいことに気づき始め、部屋の外へと踏み出し、見てはいけないものを見てしまうことに――。
優しそうなじいちゃんばあちゃんが、どんどんと不気味な存在に変わっていく状態がすごい!そして、やってくれるナイト・シャマランがしかけたラストの衝撃。
じいさんばあさん共にそろって怖すぎます。
2. ドント・ブリーズ
こちらはじーさんが怖いホラー。
若者たちが盗み目的で忍び込んだ退役軍人である老人の家。盲目であると聞いて油断していた彼らは、予想外の反撃にあうことに。
老人は視覚を失っているが、それを補える以上に聴覚が発達していたのだ。加えて危ない人格に命の危険を感じた彼らは地下室に逃げ込むが――。
音をたててはいけない!
この緊迫感がすごい。年寄りの動きを超越したムキムキのパワーに、だんだんと怖さを通り越して笑ってしまう。このじーさんが怪物になると「クワイエットプレイス」になるんだな。
3. it それが見えたら終わり
子供たちとピエロが主演の映画なのに、どこにじーさんばーさんが?
ってことですが、ワンシーンだけなのです。個人の好みだと思いますが、こういう感じの恐さが好きなので。
大人になってそれぞれ町を出た少年たちの1人、少女だったベバリーはかつて住んでいた家を訪れる。そこに住んでいた老婆は優しく迎え入れてくれるが、徐々に彼女の行動がおかしくなり――。
このばーさんのインパクトがなかなかすごい。ただ笑っているだけなのに笑顔が怖い。で、最終的に全裸になってたりするんだけど、正直ここだけ「it」であることを忘れていました。ペニーワイズが出てきてくれて逆にホッとした感じ。
4. スペル
これもばーさんが大活躍するホラー。
銀行に勤めるクリスティンの元に、1人の老婆がローンの支払いの延期を申しいれた。住む家を失ってしまうと懇願する老婆だったが、出世が関わる大事な時期であったクリスティンは容赦なくこれを断る。
逆恨みした老婆は、クリスティンを待ち伏せし、恐ろしい呪いをかけた。その後老婆は亡くなり、以後クリスティンにさまざまな怪奇現象が起こり始め、何度も目の前に老婆が現れることに。
「スパイダーマン」のサム・ライミ監督が気合を入れて作ったこのホラー。指をかたかた鳴らす音や不意打ちのタイミングなど、細かいディテールにこだわって怖さを盛り上げてくれます。なんといっても驚きはラスト!
老婆の恐さは出るタイミング。出るぞ出るぞとわかっていても、絶妙な間で飛び上がらせてくれる。しかもこの老婆しつっこい!
だんだんクリスティンも怖さより怒りの方が先にたち、マジギレ状態で闘うのが笑ってしまいます。
ドクター・スリープ
映画の中で、度々登場する老婆の幽霊。
舞台となったオーバールックホテルの浴室で死んだ女性の幽霊で、始めはスタイル抜群の全裸状態で登場し、結果体中を腐敗させた老婆の姿に変貌する。
主人公ダニーも「シャイニング」での幼い頃に目撃し、大人になった本編でも何度となく関わってしまうこの映画の象徴的な存在。
この老婆も全裸。全裸が怖いのではなくて腐りきっているその容貌が怖いのですが。
激しい化け物がさほど出てこないこの映画の中にあって、この老婆は主要幽霊キャストともいうべき重要な人物。
おそらく、あの静かで奇妙な空間だからこそ映える(?)存在なのではないかと思います。
メイキングで老婆役の老婆が出演してくれるのですが、とてもお茶目なばーちゃんで、楽しんで腐った幽霊を演じていたとのこと。スタッフいわく「彼女にとっては衣装だから、撮影の合い間もずっと全裸でウロウロしていたよ」
以上、ザっと思いついた5編を挙げてみました。
面白いのでまた思いついたら書いていこうと思ってます。
9月、敬老の日に敬意を表して。