もくれんの映画日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

凶悪振りを見比べた2本の「テッド・バンディ」

シリアルキラーという言葉は、この男から始まったと言われているアメリカの連続殺人犯「テッド・バンディ」の映画を2本見比べた。

 

テッド・バンディ(字幕版)

テッド・バンディ(字幕版)

  • 発売日: 2020/04/22
  • メディア: Prime Video
 

 

1974年から78年までに、7つの州にわたり30人以上の女性を強姦、殺害した最悪の連続殺人犯。しかも首を切り落として保管していたり、死体の場所へ何度も通ったりと、異常性はハンパなく、映画化の仕方によればもうホラー映画の域にも達しそうな事件。

 

しかしこのテッド・バンディという男、犯罪そのものも異常だが、捕まってからの異常性も際立っていて、脱獄も2回し、裁判も弁護士をやとわず、自分で自分を弁護するという離れ業をやってのけた。

 

2019年公開のこの映画は、捕まってからのテッド・バンディを現在軸にして、回想を追う形で展開される。

 

元恋人の女性がテッドの面会にやって来る。映画はそこから始まり、彼女との出会いから、優秀で子供好きな優しい恋人の顔と、もう1つの裏の顔である邪悪で凶暴で変態的な面を描いていく。

 

シリアルキラーものは殺人の場面が主になるが、こちらは殺人そのものの場面は少な目で、残虐なシーンはほぼ無いに等しい。見方によれば、さほどの異常性は伝わってこないかもしれないが、主演のザック・エフロンの熱演が、犯人の異常性や卑怯な人間振りをみごとに表現してくれた。

 

見どころは後半の裁判のシーン。テレビ中継もされた、まさに劇場型裁判。自分の弁護を自分でする様子は、視聴者の女性たちが惚れたというわけのわからない現象を起こしたほど。

検察とのやりとりはなかなか興味深く見れる。裁判官が最後に言った「君は優秀だ。弁護士として会いたかった」という言葉がすべてを物語っている

 

 

テッド・バンディ [DVD]

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  • 発売日: 2003/02/21
  • メディア: DVD
 

 

こちらは2002年公開の映画。
上記と違って、捕まるまでがメイン。
つまりおぞましい殺人の手口が延々と流される。
現実どおり首を切り落としたり、その変態ぶりが、もうわかったわかった…っていうほど伝わってくる。
恋人も、美化されている感のある上記と違って、いつ殺されても不思議でないような存在に見える。

 

怖さを感じるのは、いとも簡単にあっけなく捕らえられてしまう女性たち。
決して誘惑されているわけでもなく、人助けのつもりで手を差し伸べてしまった彼女たちにまったく非はない。

だからこそ、全米中が怒ったのだろう。

 

リアルさでいえば、こちらの映画の方が断然そうなのだけど、映画としての面白さや評価は2019年版の方が高いと思う。

 

ドキュメンタリーでない限り、やはり映画は基本的にフィクション。先日書いた「永遠に僕のもの」(この題名正直気に入らないんだけど)も、凶悪振りよりも違うところに視点をもっていっている。


描き方次第で、実在の犯人たちはいろいろなイメージに変化する。
犯人の異常な下半身依存も、2019年版は病的な異常。
2002年版は狂気的な異常。
という印象を受けた。

でも今回、何よりも恐ろしかったのは、2002年版のラストの死刑執行の描写。電気椅子に座るまでの段取りなんかがかなり細かく、リアルだった。
犯罪抑止になるんじゃないかな。みじめさと人生終わった感がすごい…。