もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

映画だからこそわかる現実がある「ウインド・リバー」

当然のことながら、変死体というものは見たことがない。

変死体どころか、死体なんてまず見ない。

棺桶に入ってたじいちゃんばあちゃん以外は。

ただこの映画で、主人公コリーが雪の中で見つける死体は、ギョッとするほどリアルだ。

 

 

おそらく、変に血みどろとか残虐な状態とか、そんなものがないからだろう。彼女は血の跡を残し、倒れていただけ。
きっと本物の死体というものはほとんどがこういうものなのだろうと、静かに思った。

 

ウインドリバーとはワイオミング州ネイティブアメリカンの保留地。冬は雪に閉ざされる極寒の地。そこで雪の中に倒れて死んでいる若い女性を、野生動物局のハンター「コリー」が発見する。

 

当然警察が捜査を開始するべきであるのに、アメリカ合衆国の管理下にあるこの土地では、現地の警察は殺人事件の捜査をすることはできない。じゃあどこから警察はやって来るのかというと、なんと直接FBI。

 

この日も吹雪の中、必死でやって来たのは新米の女性捜査官「ジェーン」1人だけだった。死体を見て戸惑うジェーン。半径5キロ以内に家はなく、死体は薄着で裸足、-30度の極寒の中で肺が凍って破裂するという悲惨な状況で死んでいる。彼女にいったい何が起こったのか。

 

FBIの協力も得られず、やもなく1人で捜査を開始するジェーン。協力するのは地元に詳しいコリー。ストーリーが展開していく中で、この土地の厳しさや人々の生活の現実に驚き、戸惑いっぱなしのジェーンは、そのまま視聴者の驚きと戸惑い。

 

この土地では、なぜか少女たちの行方不明が異常に多い。そしてまともに捜査されることもないのが現実。

コリーの娘もまた、行方不明になったまま帰ってきていない――。

 

ウインド・リバー [レンタル落ち]

ウインド・リバー [レンタル落ち]

  • 発売日: 2018/12/04
  • メディア: DVD
 

 

サスペンス性たっぷりのクライム映画だが、テーマはアメリカが持っている現実。犯してしまった罪と罰を、静かに、残酷に披露してくれる。

この映画が現実の出来事に即した話だということにも驚愕する。

 

 ラスト、白人のコリーと友人であるネイティブアメリカンのマーティンが泣きながら励まし合うシーンには胸を突かれる。

 

日本は平和ボケしているというけれど、まあ確かにそうだけれど、世界と比べるにはあまりにも条件が違う。アメリカにしても中国にしても、広すぎる。人の数も違いすぎる。民族や人種というものの抱える問題のむずかしさをつくづく実感する。

 

それでもこういう映画を見た時、やっぱりアメリカってすごいと思うのは、こういう事実があるというのを暴きだすのもアメリカ自身だということ。

 

最近、国の操作がたっぷりかかったニュース見るより、映画の方がよっぽど勉強になるわ。何かわからないけど、誰に対してかわからないけど、バカヤロー。

すいません、ストレスたまってますから。