まず、始ったとたんに「?」
ホラー映画ではあまり見かけない学者かビジネス風の人たちと、並ぶモニターやメカニックな世界。そこで交わされるお気軽で意味不明な会話。
「あれ?間違った?違う映画?」
そんな違和感を抱くほど、ホラーの定番状況というのは決まっているのだ。
バカンスを楽しむために、山小屋へと向かう大学生たち5人。
ホラー映画ならではの状況と人物設定。
チャラそうな男に軽そうなねーちゃんのカップル、オタク風、好青年、そして明らかに主役の、ちょっと不器用な感じの失恋したてのおねーちゃん。
もう誰が生き残って、誰が絶対死ぬやつか、誰が生きるか死ぬかビミョーなヤツかなんていうのが、ひとめでわかるキャラがずらり。
彼等が山小屋に向かう途中に立ち寄るのが、ガソリンスタンド。
そこでひと悶着起こすのだが、「おや?」となるのが、スタンドのおっさんが彼らの立ち去った後、芝居が終わったような状態で「今向かいました」みたいな報告をどこかにすること。
そのどこかというのが、始めに出てきた研究所。
これはいったいどういう話なのだ?
ネタバレすると絶対面白くない映画なので、伏せることがいっぱいなのだが、
大学生たちは、ちゃんとお決まりの設定どおり、封印された呪文を唱えてしまい、何者かを呼び覚ましてしまい、恐怖にのたうちまわりながら順番に死んでいってくれる。
研究所とホラー現場が交互に現れて、だいたいの状況はつかめてくる。
ああ、そういうことなんだな――
と、自分なりの想像ができあがる。
が、しかし――
第二部ともいうべき後半が始まると、いろんな想像やストーリーなんか吹っ飛ぶ。
これはもう、あらゆるホラーのオマージュをぶちこんだ想像を絶する世界観。
「うわあ」「出たー」「あー知ってるう!」「あいつも知ってるう!」
次から次へと出てくるどっかで見た化け物どもは壮観としか言いようがない。
残虐とおりこして、もうドロドロベタベタ。
そしてストーリーは目が離せないスピーディーな展開。
まさかの特別ゲストも「あー、こんなところにー、なんて贅沢なー」という出演の仕方。
予想を裏切るところあり、予想どおりをしっかりなぞってくれるところあり、まさにホラー好きを存分に楽しませてくれる大胆不敵な映画。
もうお腹いっぱいです。
加えてラストも大胆不敵な結末。
でもちょっと見たかったな…
“あいつ” の正体…