「スリーピーホロウ」の記事を書いていて、首なし騎士役のクリストファー・ウォーケンのことを思い出し、そこから「デッド・ゾーン」を思い出した。
こちらも80年代の映画。スティーブン・キング原作と知ったのは後々のことで、初めて日曜洋画劇場で見た時は10代の頃。テレビ垂れ流しのじーちゃんばーちゃんの家で何気なく見ていて面白くて夢中になった。
スティーブン・キングのホラー映画は、ストーリーは抜群に面白いのだけど、あまりヒーロー的な人物は出てこない。でもこの物語の主人公は、かなりヒーロー的存在でカッコよかった。だからよけいにインパクトがあったのかもしれない。
教師のジョニーは、同僚であるサラと恋愛中。ある日デートの帰り、車で帰宅中自動車事故に巻きこまれて大けがを負う。目覚めたのは、病院だったが、知らないうちにジョニーの脳にはとんでもない異変が起こっていた。
彼が事故で意識を失ってから、5年の歳月が流れていた。つまり彼は5年もの間、眠り続けていたのだ。すでに恋人のサラは別の男性と結婚し、子供もいた。
困惑と絶望に包まれるジョニー。しかし、物語はこれから――。
彼は奇妙なビジョンを見るようになる。
しかも誰かに触れた時に。
その映像は、その人の過去に起きたことや、未来に待っているさまざまな出来事。
ジョニーは事故がきっかけで、超能力を身につけていた。
映画は、ジョニーがその超能力を使い、周りの人を救ったり、難事件を解決していく展開で進んでいく。わくわくしながら安心して観ていられるくだり。
しかし、後半になり転機が訪れる。
今までの事件は前振りで、ジョニーが授かった超能力はこのために使えと、神さまがくれたものではないかと言いたくなるような出来事が。
ある人物と握手をしたことで、恐ろしいビジョンを見てしまったジョニー。悲惨な歴史を繰り返さないために、彼はライフル銃を手に入れて――。
スティーブンキングお得意の、極限状態に追い込まれる主人公の、究極の選択と闘いが展開する。自分だったらどうしていたか。スティーブンキングの物語の中の主人公たちは、迷うことなく戦いを挑む。決してあきらめない。
スリーピーホロウのイカボッド同様、映画の始め、「じじむさい男だな」と思って見ていたジョニーが、だんだんとたくましくカッコよくなり、ラストはやっぱり心を持っていかれた。
アメリカではテレビバージョンを長くやっていたみたいだけど、やっぱり断然こちら。クリストファー・ウォーケンは脇役が多いようで、その後あまり自分が見る映画の中ではお目にかかる機会がなかったので、だんだん存在も忘れていった。
そして出会ったのが、首なし騎士。
まったく気づかなくて、キャストの名前を見て驚いた。
だって気づかないって。
ほとんどの場面、首無いんだもの。