もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

タイトルほど「残酷で異常」でもなかった

いかにもホラーという感じのタイトルだったが、
そんな感じではなくて、トランスワールドとバタフライエフェクトを連想させるような。奇妙な感覚のサスペンススリラーって感じでしょうか。

 

残酷で異常

残酷で異常

  • David Richmond-Peck
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主人公のエドガーがバスルームで、女性の心臓を押さえて救命活動をしている場面から始まる。
彼女は妻のメイロン。
しかし努力も虚しく、彼女は息を吹き返さない。
そして持病を抱えるエドガーもその場に倒れ込む。

 

次の瞬間、気づくとエドガーは車に乗っている。
驚いて急ブレーキ。
助手席には死んだはずの妻のメイロンがいる。
さっきの光景はいったい何だったんだ。幻?

 

家に帰った2人は、食事をしながらも、会話しながらも気まずい雰囲気を漂わせている。どうやら何かしら問題を抱えているようだが、見ているこっちにはまだその辺のことはわからない。

 

機嫌が悪いまま、寝室へのドアを開けたエドガー。
しかし、そこは寝室ではなく知らない建物の廊下だった。

 

当然混乱するエドガー。
たどりついた部屋にはイスに座っている数人の人たち。
彼等の前には古そうなテレビとそこに映っている厳しい表情と偉そうな言葉づかいの年配の女性。

 

「自分の罪を話せ」「妻を殺した時のことを話せ」と命令される。
「なんのことだ?」「妻を殺してなどいない」「ここはどこだ?」と戸惑うエドガー。

「こいつはまだ何もわかっていない」
と、いうことになった次の瞬間――

 

気づくとエドガーは車に乗っている。
驚いて急ブレーキ。

 

何度も同じ時間を繰り返すことになるエドガー。
そしてその都度、夫婦の言動に新たな事実が肉付けされていって、見ている側も少しずつ状況がわかってくる。

 

 

彼は何度も奇妙な建物と現実世界を行き来するが、題名が示す残酷と異常さは特に無い。強いていえば、建物の中でイスに座っている人物たちが残忍な罪を犯して死んだものたちだということ。

 

彼等が話す自らの罪は、確かに残酷で異常。
つまりはそういうことなのだろう。
そして何度も何度も自らの罪を話し、何度も何度も同じ罪を犯し続けなければならないこの建物そのものが、彼等に与えられた残酷で異常な場所なのだ。

地獄?

 

とても単純な教訓を与えてくれます。
こんな目に遭いたくないから、悪いことはしないでおこう。

 

エドガーはどうなるのか?
結果、ハッピーエンドではないのにバッドエンドでもない奇妙な結末。
加えて、いろんな想像もさせてくれる。

 

期待していた以上に楽しめたが、
やっぱり題名はなんかちょっと違うような…