もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

ある意味とってもホラーだと思う「カメラをとめるな」

ずーと見たかった「カメラをとめるな」
ようやく見た。

 

 

人によって評価が違うので、いったいどんな内容なのだろうと気になっていた。
ホラーを期待していた人の評価がボロクソだったので、「なるほどホラーじゃないんだな」と思っていたら、確かに、これはホラーの形を借りたコメディですね。

舞台はホラー映画を作っている山の中の撮影現場。
思い通りの演技をしてくれない女優に切れまくり荒れ狂う監督。
そこへ本物のゾンビが。
次々と襲われゾンビ化していく撮影スタッフ。
その様子をカメラで追い続ける狂喜乱舞の監督。
37分ノーカットのすさまじいゾンビ映画が完成する!

 

この映画は二部構成になっていて、後半はこの映画ができるまでの裏側を描いたストーリー。前半のゾンビ映画そのものを裏返しに見ているような感覚の構成。
裏側なんてどうでもいいよという人は全然面白くないんだろうけど、私はめちゃくちゃ面白かった。

 

「そっかあ、こうなってたんやあ。なんかおかしいと思ったんよなあ、あの間が」
「なるほど、あの変なワンシーンはこういうことかあ」
いろいろな伏線がみごとに回収されていくさまは、ミステリーを読んでいるような楽しさ。

 

時間との勝負の37分ノーカットの壮絶さはまさにホラー。
放送業界の現場の過酷さは、少しばかり中にいた人に聞いて知っていたので、よけいに興味深かった。
正直笑える話もいっぱいあって、コメディー&ホラーはまさに的を得ていて、皮肉でもあるような。

 

かつてハリウッドのメイキング動画で笑ったのを思い出す。
ジェラシックパークのスタッフたちが恐竜の気持ちを体験するために、集団で草原を爆走させられていた。

 

どんな華やかな世界でも裏側はシビア。
地味な世界でも心の中にはホラーがいっぱい詰まっている。

 

表側の映画部分での「カメラをとめるな!」という監督の絶叫は、裏側ではいろんな意味も合わさっての絶叫となる。

叫ぶ方も叫ばれる方も、働く人たちの血を吐く絶叫。
なんて、おおげさだけど、
聞きようによれば、「諦めるな!」とか「負けるな!」みたいな鼓舞する言葉に聞こえたりもする。