もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

かつて本当にいた彼等へ「グラディエーター」

以前何かの特集で、発掘された古代ローマ時代の遺骨を調査するドキュメンタリーを見た。
墓地から発見された全身傷だらけの遺骨。すべて首をはねられ、その首といっしょに埋葬されていた。
彼等はいったい何者なのか。

調査分析の結果推察されたこと。
彼等はグラディエーターだったのではないか。

 

「本物のラッセル・クロウだ…」

 

 

ローマ帝国の皇帝から信頼を受けていた、ラッセル・クロウ演じる将軍マキシマス。しかし皇帝の死後、ザ・悪役の皇帝の息子コモドゥスに疎んじられる。

処刑寸前で逃げ出したマキシマスは、命からがら故郷に帰るが、待っていたのは焼き払われた村と妻子の遺体。

 

体力気力ともに限界を向かえ、野垂れ死にするところを奴隷商人に拾われる。そして剣闘士グラディエーターとして、再びローマに帰ってくることに。

 

復讐の一念で無敵のグラディエーターとして闘うマキシマス。コモドゥス側が送り出す敵たちを撃退していくマキシマスは、はじめは敵側を支持していた民衆の心を次第につかみ始める。

 

殺してしまうのは簡単。しかし民衆の指示を無視することができない新皇帝コモドゥスは、ジレンマに悩みながらも卑怯な手を次々にくりだして、見ているこっちが喜んでブーイングを連発できる展開を楽しませてくれる。

 

勧善懲悪でわかりやすいストーリーでありながら、残虐な場面も多いということで確か子供はダメだったような気がするが。剣闘士というその存在自体が残虐ということもあるだろう。

 

昔から殺し合いや処刑には見物人が押し寄せるのはどこの国でも同じだが、コロセウムに詰めかけた民衆たちも、きっと自分たちが愚かであることをわかっている。

 

マキシマスが「楽しいか!これが楽しいか!?」と観客に向かって挑発するが、一瞬の静寂の後、彼等はマキシマスに声援を浴びせ、マキシマスを戸惑わせる。
民衆は果てしなく愚かだ。けれど強い。皇帝を苦しめるほど強い。

 

 

 

ラッセル・クロウはじめ、キャラ達も演じる役者さんたちも濃い。
知らなかったのだが、コモドゥスはあのジョーカーを演じたホアキン・フェニックス
うまいはずだ。ほんと狂気がほとばしってたもん。

 

しかもコモドゥスは実在の人物だそうで、これも驚き。
ローマの皇帝の名前なんかよう知らんもんなあ。徳川将軍の名さえ全員知らんのに。

 

発掘された墓地に横たわる本物のグラディエーターの中に、1人だけはるばる中東からやって来た戦士がいたそうだ。奴隷として売られてきたのか、何かの理由で流れついてきたのか。コロセウムの中で、彼は民衆の声援をどんなふうに受け止めていたのだろう。