ホラー映画というのはそれぞれ独特な世界観を持っているものですが、その中でもおしゃれな部分が際立つホラーを集めてみました。
おしゃれなドレスやセットの方が印象に残って、何の怖さだったか忘れてしまうものもありますが、そのおしゃれさとは裏腹に壮絶残忍なものもあったりして。
怖さにプラスαを楽しめるお気に入りのホラー映画10選です。
まずは比較的新しいところで。
サブスタンス
あらすじ
50歳の誕生日を迎えた元人気女優。
容姿の衰えから逃げることはできず、仕事も失う危機に焦った彼女は禁断の美容薬サブスタンスに手を出してしまう。
特別な細胞分裂により、もう一人の若い自分を作ることができる。
ただ守らなければならないのは一週間ごとに本当の自分に戻ること。
しかし、お約束のように決まりは破られていく。
美貌と人気を手に入れた彼女は、本来の自分を見失い暴走していくことに…。
おしゃれな見どころ
なんといっても生まれ変わった若いバージョンのスーちゃんの可愛さと
抜群のスタイルの良さに見惚れる。
そして、セットの造りと色使いはホラーを感じさせない明るさ。
背景や衣装のカラーが原色の明るい色使いなので、全体的におしゃれな雰囲気だ。
テンポも良くとても見やすいのだが、そこはやはりホラー。
ジャンプスケアは無いものの、特殊なグロテスクさで魅せる。
この映画の特徴として目をそむけたくなる場面、たとえばメスで皮膚を切り裂くとか、小汚いおっさんが咀嚼している口元とか、そういう場面をわざとアップで見せてくるのだ。
老いとの闘いという特に女性にとっての身につまされるホラーな課題に、果敢に挑んでいくかつての人気女優デミ・ムーアの体当たり演技に注目。
ラストナイト・イン・ソーホー
あらすじ
デザイナーを夢みて、ロンドンの専門学校へ入学したエロイーズ。
しかし寮生活に馴染めず、一人暮らしを始める。
そして彼女は夢を見始める。1960年代のソーホー。
そこに現れるのは自身と同世代の歌手を目指す少女サンディ。
まさに憧れの時代と憧れのファッションに触発されたエロイーズは、日ごと見るその夢にどっぷりと同化していき、良い意味で実生活にも影響を及ぼし始める。
そんなある日、夢の中で突然サンディが殺されてしまう…
狂気と恐怖がエロイーズの夢を支配していく。
おしゃれな見どころ
おしゃれ映画といえば必ずといっていいほど出てくるこの映画。
60年代のソーホーをたっぷりと堪能できる。
劇場、カフェ、映画館、そこに登場するヒラヒラ、テカテカ、セクシーな衣装に身を包んだサンディの可愛いこと!
ワンシーンごとのライトの色合いや明るさがまさに“夢”の世界で、どっかのテーマパークに迷い込んだよう。
とはいえ、こちらのホラーは殺人事件が主軸になっているストーリーなので後半からは雰囲気が少しずつ変わっていく。どちらかといえばスラッシャータイプのホラーです。
クリムゾンピーク
あらすじ
20世紀初頭のアメリカ。子供の頃母親を亡くしたイーディスは、時折幽霊らしきものを見る。
ちょっと変わり者の彼女を、それでも慈しんで育ててきた父親。
平和な家族の日常に、好青年トーマスがやってくる。
心を奪われるイーディスだったが、ある日突然父親が急死する。
哀しみに打ちひしがれるイーディスは、支えてくれるトーマスと結婚を決意。
そして山頂にあるトーマスの屋敷でトーマスの姉のルシールと共に暮らし始める。
古びて不気味な屋敷で、彼女はさっそく亡霊と出くわし、謎の言葉を聞く。そこから彼女の生活に異変が生じ始める。
おしゃれな見どころ
こちらはホラー感よりもサスペンス的な内容が主軸なのだけど、とりあえず幽霊も出てきてそれが重要なキャラ設定でもあるので。
とにかく作りこまれたお屋敷がすごい。
もちろんCGも組み合わせてのものだろうけど、かなり細部にまでこだわったセットであるようだ。
クリムゾンピークというのは地表を覆う赤粘土の土のことで、ドロドロ感がドロドロしたストーリーと共鳴して気持ち悪いったら。
その気持ち悪さを打ち消してくれるのがイーディスたち女性陣のドレスの数々。
どの場面でもため息が出るような凝ったデザイン。
パールをふんだんに使ったパーティードレスや思いっきり袖が膨らんだパフスリープなどデザインは凝りに凝っているが、どれも色が散りばめられておらず、一色で統一されていたりするのもあって、それがまた上品でおしゃれ。
スマイル2
あらすじ
微笑みながら壮絶に死んでいくという衝撃の恐怖は、前作同様引き継がれます。
とはいえ続編ではないので、これだけ見ても十分面白い。
薬物依存のため活動を休止していた世界的ポップスターのスカイ・ライリーは、療養を終え見事な復活を果たす。
だがある出来事がきっかけで、「スマイルの連鎖」に巻き込まれ、恐ろしい体験をするようになる。
しかし、かつての過去のせいで再び薬物を疑われ、幻覚が出たとして周りはとりあってくれない。
期待と葛藤の中、笑わなけばならないスターとして、次第に狂気の世界へと飲み込まれていく――。
おしゃれな見どころ
なかなかのグロテスクさを誇るこの映画のどこがおしゃれなんだという声も聞けそうだが、ポップスターということでスカイの衣装やファッションは華やかでおしゃれ。
映画そのものは前作の方が良いとの声も多いようだが、個人的には前作には無い独特の華やかな世界観は好きな部類に入る。
ぴちぴちのステージ衣装とオフのゆったりした服装の対比も良い感じ。
おしゃれとは違うけど、主演のナオミ・スコットの叫ぶ喚く泣くの迫真の表情は見ごたえ抜群。
罪人たち
あらすじ
1930年代のアメリカ南部の田舎町。
ミサが行われている教会に、血だらけの少年が凶器を手に飛び込んでくる。
そんな衝撃的な場面から映画は始まる。
冒頭のこの場面へとつながっていくストーリーは、双子のスモークとスタックが故郷に帰ってきたことから展開されていく。
2人はまだまだ解禁されていなかった酒や音楽に溢れたダンスホールを開店する。
集ってくる人々は黒人たちの身内や仲間。
さまざまな思惑や感情が入り混じる人間関係の中で、ダンスホールの夜は盛り上がっていくが――そこに不自然で奇妙なグループが訪ねてくる。物語はそこから一気にホラーの展開を帯びてくるのだ。
おしゃれな見どころ
ホラーでありつつアカデミー賞の最多ノミネートを記録した名作。
なんといっても30年代のアメリカミシシッピーの雰囲気をたっぷり堪能できる。
ダンディな兄弟のスーツがまたおしゃれ。服装だけでなく、ジープで走る道の両脇に広がる花畑の景色や、すさんだ感じたっぷりのダンスホールの内装に流れる歌と音楽…。
たぶん前半までホラーだというのを忘れます。
ホラー的内容はいたってシンプルなものだが、黒人社会に存在する分断や差別などメッセージ性の強い作品になっている。
高慢と偏見とゾンビ
あらすじ
18世紀のイギリス。
ある地方の五人姉妹が見る夢は、裕福な男性との幸せな結婚。
しかし彼女たちの棲む村には謎のウィルスが蔓延し、いたるところに人に混じってゾンビも生息していた。
なので、五人姉妹の日常はのんびりと夢見ていられるだけでは済まず、武器を手にゾンビたちと闘うことも彼女たちの日常だった。
そんな彼女たちの村に、資産家一家が引っ越してくる。女性たちが狙うは息子とその友人。恋愛沙汰とゾンビとの壮絶な戦いが始まる。
おしゃれな見どころ
元になっている「高慢と偏見」は恋愛や結婚事情をテーマにしているので、基本的に恋愛物語といってもいい内容の映画。
上記の作品同様、女性たちのファッションがおしゃれ。
ドレスだけでなく真っ白なストッキングやガーターベルトなど可愛くセクシーなアイテムで明るさと軽さがある。
圧巻のシーンは五人姉妹が颯爽とドレスをまくり上げ、装備していた武器を取り出し戦うアクションシーン。かっこいいことったら!
主役のエリザベスとダーシーの気持ちのすれ違いや恋の行方が中心になっている物語なので、途中からゾンビなんかどうでもよくなります。
ドントウォーリー・ダーリン
あらすじ
ホラーというよりはSFと言った方がいいかもしれないが、ラストに露呈される真実と人の心はとっても怖いと思う。
パーティー、ランチ、プール、習い事…毎日おしゃれで充実した生活を夫ジャックと共におくるアリス。
しかしある日、隣人が赤い服の男たちに連れ去られる場面を目撃してしまう。
それが頭から離れないアリスは、今までの生活に少しの疑問を持ち始める。
やがてそれは大きな疑惑に膨らんで、彼女の身に不可解な出来事が襲う。そして徐々に危険が迫っていく。
おしゃれな見どころ
とにかくアリスたちのファッションを見ているだけで楽しい。そしておしゃれなインテリア、華やかで美味しそうな料理。
50年代のファッションを彷彿とさせるデザインは、どんな年代が見ても楽しめると思う。どちらかというと女性向きの映画かな。内容は男性にも見てほしいけど。
こんな格好でこんな家事してえなぁ~と思うが、自分の体形を考えたらおぞましいな。
でもアリスはぽっちゃり見える時もあるので、それはドレスの影響か?
エスケープ・ルーム
あらすじ
ある日6人に届いた招待状は1万ドルをかけた脱出ゲーム。
疑問に思いながら集合場所に集まった男女だが、ゲームは突然始められる。
「パズルを解きながら、今いる部屋から脱出すること」
招待状の送り主は誰なのか、なぜこんなことをしているのかわからないまま、彼らはゲームに参加せざるを得なくなる。
しかもこのゲームは命をかけた壮絶な脱出ゲーム。
やがて彼らには共通点があることがわかるが…。
おしゃれな見どころ
このおしゃれ度は極めて個人的なものだと思うけど、とにかく部屋そのものがおしゃれなので、ここに挙げることにした。
1つの部屋の脱出に成功するたびに、次々と新しい部屋が登場するのだが、それぞれの部屋のインテリアが見どころ満載なのだ。
天井と床が逆さまになった部屋や、お人形の受付嬢が座る部屋、氷で固められて出せそうもない鍵など…変なアイテムが目白押し。
謎解きのパズルにもなっているその作りこまれた小道具は、1つ1つ見ていても退屈しない。映画を見終わってももう一回じっくりと一部屋一部屋見てまわりたい気分になった。
ベニー・ラブズ・ユー
あらすじ
おもちゃが恐ろしいことをしでかす人形殺人鬼タイプのコメディホラー。
おもちゃのデザイナーであるジャックは、冴えないデザインでなかなか会社に認めてもらえない。
そんな中、35歳の誕生日に仲良く暮らしていた両親が急死する。お金に困ったジャックは家を売ることを余儀なくされ、思い出のつまった部屋の中を整理する。
そこには子供の頃からのお気に入りだったウサギのぬいぐるみベニーもいたが、意を決して捨てることにするが――。後はお約束の人形殺人鬼の登場へと展開していく。
おしゃれな見どころ
この作品をおしゃれというのも憚られるほどのスラッシャーグロテスクホラーなのだが、ベニーがチャックなどと違って可愛いので載せてみました。
見た目全然可愛くないのだが、行動やコミカルなやりとりのセンスが抜群で、
クッキーモンスターみたいな声で「ベニーラブズユー」としゃべる。
顔もそっくりなので、絶対寄せてると思うが。
ぶち殺した死体を自慢げに見せて「じゃじゃーん」と声を発するタイミングが最高。
コメディなので基本笑える部分は多いが、なかなかの残酷度なので、子供にはキツイかも。
子供部屋の柔らかいインテリアの雰囲気がわざとホラーっぽさが無くて逆におしゃれ。
映画全体的の明るいカラー使いもわざとらしくていい。
怪談
あらすじ
日本のホラーでおしゃれというのが思いつかなかったのだけど、まあ朝ドラの八雲さんに敬意を表して、最後は日本の名作怪談で締めるということにいたしましょう。
小泉八雲の名作「怪談」の中から有名どころの4話で構成されているオムニバス形式。
もはや怪談というより昔話といった方がいいくらい日本人に馴染みまくっている「雪女」
妻を捨てた男の身勝手さを描いた「黒髪」
茶碗の中に映った見知らぬ男。それを飲み干した男に起こった怪異「茶碗の中」
そしてこれぞ八雲文学の真骨頂「耳なし芳一」
おしゃれな見どころ
1964年制作ということで、スタジオ撮影でCG部分など微塵もないが、当時の大がかりなセット撮影の独特の世界観が見ごたえ十分だ。
初めて見たとき、モノクロを後付けでカラーにしたのだと思っていたが、このままのカラー作品だったと知って驚いた。
そのエピソードごとにカラーの雰囲気も違い、手の込んだ演出は日本ホラーの幽玄な世界観を表現していて美しい。
正直、怖い話ではないし、1つ1つの話がけっこう長く寝そうになったのも事実だけど、静かな日本独自の世界を楽しんでみてほしい映画だ。
とにかく早送りには向いていないので、くれぐれも禁止!
まとめ
多分に偏見の多い選択だったが、どちらかというと現代ものより歴史的なものが多くなった。それぞれの時代の特徴をおしゃれという表現方法で表されたものは個性的で印象に残る。
ただどれもホラーなので、基本は怖さが主役。
ホラーとしても秀逸だ。