テロリストの中でも超悪いヤツのニコラス・ケイジ
堅物で正義感溢れたFBI捜査官のジョン・トラボルタ
最初から違和感満載で始まる名優2人。
子供を殺されたショーン捜査官は、冷酷無比でイカレたテロリストキャスターを執念で追い詰める。冒頭からの飛行機アクションの末、意識不明状態で捕まったキャスターだが、爆弾テロを計画していたことが判明。
知っているのはすでに刑務所にいるキャスターの弟。こいつもかなりイカレたヤツなのだが、彼から情報を聞き出すため、ショーンがおとりととして刑務所に送り込まれることになった。
ここまではよくある設定なのだが、その方法がぶっ飛んでいた。
ショーンにキャスターの顔を移植すること。突然のSF展開にひるむ。
守備よく刑務所に乗り込み成果を出しつつあったショーンだったが、なんと意識不明だったキャスターが意識を回復した。顔を無くした彼は、あろうことか保存してあったショーンの顔をいただくことに――。
ここからジョン・トラボルタとニコラス・ケイジの本来の顔が存分に楽しめる。
人によるだろうが、自分の中ではトラボルタは絶対悪役の方が似合うと思っているので、冷酷無比な性格を内に抱いた、あの憎たらしい嫌らしい表情に満足。「こうでなくっちゃ~トラボルタあ」って感じ。
反して、ニコラス・ケイジは本領発揮の追い詰められキャラの、情けない表情をフルに活かす。愛する家族や自分自身を失うというどん底に追い詰められたショーンの悲惨さが、こんなにしっくりくる人はニコラス・ケイジをおいて他にあろうか。
ストーリーは単純で、この2人の壮絶な戦いが繰りひろげられる展開。
正直ツッコみどころはいっぱい。
ご都合すぎるやろ、段取りよくいきすぎ、かすり傷くらい負え。
ただ面白いのは、警察を率いているのが悪人で、テロリスト仲間と共に戦っているのが正義の味方なので、見ているこっちが肩入れする側がコロコロと変わる。
こんな奇妙な感覚は初めてだ。
一番の見どころは、壮絶なアクションの数々。ラストのボートの戦いは迫力満点で、全体を通してスタントさんたちの凄さを実感する映画。
知らなかったんだけど、制作総指揮にマイケル・ダグラスが関わっていらした。
ブラックレインを連想して、松田優作が悪人ショーンの役をやったら迫力あるだろうなあと想像した。
背恰好の似た相方が必要なので、善人キャスターの役は(ちょっと時代はズレるが)、渡辺謙なんてどうでしょう。
贅沢。