もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

脳が暴走するとこんなにカッコよくなるのか「LUCY/ルーシー」

アクション映画だとずっと思っていたが、SFだった。アクション付きの。

 

 

冒頭いきなり、スカーレット・ヨハンソン演じるルーシーがホテルの前で男と口論している。怒りで喚きちらしながらも仕方なく臨時の運び屋を引き受け、ホテルに入っていくのだが、そこで恐ろしい目に遭遇することになる。

 

怒りの次は不安、そして究極の恐怖、最初から冷静なルーシーをまったく見せてはいない。常に感情丸出しの場面が続くのは、以後、感情を徐々に失っていくことになるルーシーを、きっと強調するためだ。

 

マフィアにつかまり、ヤバい薬を体の中に埋め込んで運ぶという恐ろしい任務を強いられたルーシーだったが、その薬が体の中で漏れてしまう。

 

普通は即死亡するはずだが、なぜかルーシーの場合、それが脳に作用し、一般的な人間では10%しか使われていないという脳細胞をどんどん開花させていってしまうことに。

 

ルーシーは度を超えたエスパーとなり、マフィアとの戦いに挑んでいく。同時にどんどん人としての感情を失っていく様子が、端正な顔立ちと表情のスカーレット・ヨハンソンにピッタリマッチしている。

 

脳が開眼していくと、本当にあんなことになるかならないかは別として、SFとして見るととても面白い。絶対みんな「あー自分ももうちょっとでいいから開眼したい」と思うに違いない。

 

ただ、ルーシーの場合、マフィアと闘うという目的があるからいいけど、普通の生活であの能力を何に使えばいいのか。とりあえず思いつくことは、晩飯の用意をもう少し手際よくしたいとか、そんなつまんないことだ。

 

しかもルーシーだけだから異能になるが、まわりがみんな脳を50%は使う人間ばかりだったら、きっとつまんないに違いない。

 

なぜ50%なのかというと、100%になると、この映画のラストのようにならないまでも、きっとそれに近いものになってしまうだろうから。

 

能面のように無表情な顔で、アクションを繰り広げていくルーシーは、とにかくかっこいいが、自分が一番気にいって印象に残っているのは、脳が動き始めて最初に敵をノックアウトする場面だ。

 

監禁されているルーシーに近づいてくる男、そいつにニヤリと浮かべる笑顔が最高に良い。誘われたと勘違いしてズボンに手をかける男にくらわす早業は、「おー!始まったあ!」とこの後の展開をすべて予想させてくれる。

 

ただ、ルーシーの人としての笑顔はきっとこれが最後。
怒りとあざけりといろんな感情を凝縮したようなこの不敵な笑みが、なぜかとても印象に残った。