特殊な職業の方々のお話を読んだり聞いたりするのは、とても楽しい。
最近たまたま立て続けにそんな職業の本やら映画やらに出くわした。
ずっと勧められていながらようやく見た「南極料理人」
これはもう究極の特殊なお仕事で、出てくるご飯も美味しそうなのだけど、個性的なキャラクターたちがとても良い。
8人で過ごす一年間の共同生活は、想像を絶するものだけど、あっけらかんとした男同士感が意図せずとも勝手にコメディになっている感じで、女には絶対真似のできない世界だなと、うらやましさを通り越して妬ましくなった。
家族に反対されつつやってきた生瀬さん演じる元さんが、「やりたかった仕事が南極でしかできなかっただけ…」と寂しそうに言っていたが、そんな特上のセリフ吐いてみたいもんだと思った。
次に、
近藤史恵さんの人気ビストロシリーズ最新刊「間の悪いスフレ」
三船シェフを中心としたお馴染みのメンバーたちが、訪れたお客さんにまつわるちょっとした謎解きを展開してくれる連作ミステリー。
このシリーズはとにかくフレンチが食べたくなる!もうその一言に尽きる。
こういうこというと悪いけど、内容よりも料理が印象に残ってしまう。
読むたびにネットでどんな料理か検索して喜んでいる。喜んでるだけで食べられるあてもないのだけど。
今回はコロナ禍で奮闘するお店が中心になっていて、苦しい経営の中これからの不安をそれぞれ抱えながら日々を乗り越えていく。
これまでよりは、謎解き感そのものよりも、各ストーリーのテーマが読む側に響くような気がする。夢や仕事や結婚など人生の分かれ道に遭遇し、不安を抱えているお客さんたちがやってくる。
語り手であるギャルソンの高築君が、なぜ自分はこの店にいるのかということを考えた時、「辞めようと思わないから」という単純明快な答えを出してくれる。
当たり前なんだけど、それはとてもすごいことでもある。
最後に、
水族館の飼育員という特殊だけど興味深いエビソードが楽しめる「水族館飼育員のキッカイな日常」
四コマ漫画と読みやすい文章で、ちょっと個性的な方々が多い水族館の裏側と日常を笑いながら堪能できる。
実際数回声出して笑った。
飼育員の方たちから見たお魚たちのかわいいだけじゃない側面も興味深いし、その仕事の大変さは怠け者の自分などから見ると想像を絶する。
それでも彼らはとても楽しそうだ。
著者はあとがきで、水族館員という仕事について「相性が良かった」と述べられているが、そんな仕事に出会える人はほんとに数少ないだろう。
お休みが不定期で家族や友達との付き合いがなかなかできない、体力勝負っていうのはどれも共通してるけど、それでも「なんでこんなことやってんだろうなあ」とどんな仕事についても思っていた自分なんぞにとっては、やっぱりうらやましい限りです。