もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

UFOを撮影して儲けたいだけだったのに「NOPE/ノープ」

「ゲットアウト」「アス」のジョーダン・ピール監督の新作ということで、見るの楽しみにしていた。

 

 

期待通り、これまでの作品同様独特な世界観と体験したことのない怖さ。

 

アメリカの広大な土地にあるハリウッド牧場は、映画の撮影に馬を貸し出して収入を得ていたが、経営は厳しく大切な馬を売りながら生計をたてていた。

 

そんな牧場にある日事件が起きる。
牧場主が空からの落下物に直撃し、死んでしまうのだ。

 

世間では飛行機の落下物とされたが、跡継ぎ息子であるOJは、実はその瞬間空に異様なものを目にしていた。

 

妹エムの強い圧しで、OJは自分が見た謎の飛行物体を撮影しネットに挙げることで大金を稼ぐことを計画する。

 

そうそううまくいかないことはわかっているが、案の定UFOらしきものはなかなか姿を人に見せず、その存在を人が目にするときは目にしたその人が死ぬときだ。

 

あまりの手ごわさに諦めるよう説得する妹たちを押し切って、OJは意地になってUFOとの闘いに挑んでいく。とはいえ、やっつけてやる!ではなく、撮影してやる!という目的のために。

 

この映画の面白さはそれだけの単純なストーリーではなく、得たいの知れないUFOの存在と共に、合間に挟み込まれる得たいの知れないエピソードやキャラにもある。

 

冒頭に出てくる謎のエピソードのチンパンジー、その体験のトラウマと共に生きてきたテーマパークの経営者、兄妹の勢いと自らの好奇心で巻き込まれてしまったイケメンの電気屋さん、凄い映像を撮ることに命をかけているベテランカメラマンなどなど。

 

彼らを巻き込んで、空に潜む謎の物体はとうとうその姿を現すことになる。

 

この作品は、これまでのものよりもホラー感は薄い。なので、ゴリゴリのホラーを期待してみるとハズレになる。

 

残忍なストーリーではあるが、UFOであるということと、最後まで全貌を見せないということでホラー的な怖さは弱い。

 

しかしこれまで同様メッセージ性は強く、人種差別に加えて馬や猿など動物の存在を絡ませながらいろいろと投げかけてくる。

 

SFやホラーなどこういうスケールの大きい作り物の怖さを見ると、映画ってほんとに楽しいなあと実感させてもらえるから大好きだ。

 

この映画の中では、人は利用しようとしたものに逆に襲われるという立場の存在になっている。
とりあえず今回の飛行物体は弱点があったので、人は撲滅せずに済んだが、そうそう単純な弱点などあるはずがなく、悪質なUFOが本気をだせば人なんてあっという間だな。