もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

ドクタースリープで映画を2本みた気分

2本の映画を合体させたような奇妙な構成で、評価が分かれるのもわかる気がする。

「シャイニング」の思い入れが激しい人、見たこと無い人、はるか昔に見たけどすっかり忘れちゃった人、だいたいそんな括りで評価が分かれがちだけど、これに関しては当てはまらない気がする。

 ずばり、人による。

前半でまず戸惑うのは、少年ダニーが持っていた“視える”という霊能的な能力の展開と、周りで繰り広げられていく化け物の跋扈が、頭の中で分離してしまうということ。

この化け物たちはかつて異能力を持っていた人間であったということを忘れてしまうほど宇宙人的で、それと戦う超能力少女もまた存在感満載で、ワクワク感はあるけど、ホラーのゾクゾク感はない。
でも内容は面白くてこれがシャイニングの続編であることをすっかり忘れていた。

 

大人になったダニーは、アル中ですさみきった人間になっているけれど、なんでそんなにすさんでしまったのか想像するしかない状態で、いまいちぴんとこない。

で、あんたは霊が視えるだけじゃなかったのかと突っ込みたくなるくらい、恐ろしいパワーを持つ超能力者になっている。

で、少女とダニーおじさんが力を合わせて戦うわけだけれど、化け物グループの最後の1人が残るまで、シャイニングのことは頭に過らなかった。

 

 

そして後半。
ダニーが最後に戦いの場に選んだのがあの忌まわしきオーバールックホテル。
ホテルに向かう道の上空からの映像で、一気に脳がシャイニングに持っていかれる。

見たことのあるカットと音楽は、ゾクゾク感を伴って一気にホラーの世界に心を引き寄せる。

とにかくここからは、出てくる登場人物、場所、小道具にいちいち「ヒャーヒャー」喜び、あまりのサービス満載に戦いのストーリーが半分以上頭に入ってこない。

ダニーがかつてここで起こった事件を回想するカットは、前作のものも混じっていると思っていたのだけど、なんと新たに同じものを撮り直したのですね。ええー!とびっくりするほどそっくりなカットも。

キューブリック映画好きの変人(同類の人すいません)の娘が、化け物のリーダーがかぶっている帽子は、「時計仕掛けのオレンジ」のオマージュだと叫んでいましたが、そうなのでしょうか。

 

 

DVD鑑賞は、メイキングも楽しみの1つなのだけど、監督が嬉しそうに三輪車に乗って、あのお馴染みの模様のカーペットの廊下を走り回っている姿はうらやましかった。

ーやってみたい。

そして、何より気になったのが、原作者のスティーブン・キングがコメントしている場面で、彼が着ていた「オーバールックホテル」のまるでおみやげ用みたいなさりげないTシャツ。

ーほしい。