もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

「オールド」は切ない系の恐ろしいホラー

なんとも切なく恐ろしいホラーです。

 

 

美しいビーチで楽しい時間を過ごすはずだったカップルやファミリーたち。
しかし偶然流れついた一体の死体から、恐怖の時間が流れ出す。

 

浜辺には死体の女性の恋人と思われる男性がいて、事情を聞かれる。ダラダラと鼻血を流しながら納得できない状況を話す彼に、みんなの不信感はつのり、殺人容疑すらかけ始める。

 

が、ふと気づくと死体だった女性が白骨化していた。何かがおかしいと感じ始めた彼等の1人が警察に通報すべく戻ろうとするが、頭に異常な圧迫を感じ気絶する。

 

彼等はビーチから出られない状況に気づく。
そして、主人公のファミリーたちの6歳の息子を含む子供たちに、異変が起き始める。
6歳の息子は姿を消し、戸惑う両親の前に現れたのは成長した青年だった。

 

子供たちは急成長し、子供たちは急速に老いていく。時間の流れが違う異常な現象。
計算した彼等が気づいたのは、このビーチが一生の時間がたった一日で終わってしまう場所だったこと。

 

そこから恐怖にかられた彼等のサバイバルな時間が流れていくが、どんな方法でも出ることができない。刻一刻と老いていく彼ら。

 

 

化け物系ホラーではないと聞いていたので、それなりの気構えで見たが、予想どおり少しずつ減っていく人数と、それぞれの死にざまはしっかりホラーしていて、特に容姿端麗のママの狂気的なシーンはなかなかの化け物系ホラーだった。

 

たった一日でアイスクリームが溶けるように人生が終わっていく。その様は壮絶だ。
化け物には逃げるなり反撃するなりできるが、時間の流れには抵抗できない。

 

ビーチに集まったのは、人種も性格もさまざまで、それゆえ迎える死にざまもさまざまなのだけど、考えてみればそれが一日で終わるから怖いのであって、長ーい目でみれば、人の人生そのものが描かれているだけという見方もできる。

 

思えば猫や犬とは人生の時間も違うし、人間の視点でみるから短いと思うけど、彼等にとってはそれが普通の人生で。
一生の長さがすごーく長い宇宙人がいたとして、彼等から見れば、私たちの人生はまるでこの映画のようなのかもしれないし。

 

切ないけれど優しい気持ちになれたのは、ラスト近くに年老いたママが遠くなった耳で一生懸命娘の歌やパパの声を聞こうとしているシーン。
彼女の表情がとても穏やかで優しかった。
泣けるという話もチラホラ聞いたけど、たぶんこの辺りのシーンだろう。

 

ストーリーはさすがにナイトシャマラン監督だけあって、ただのホラーでは終わらせない展開に持っていってくれるので見どころ満点だ。

 

この映画を見た多くの人はきっと思うのだろうけど、自分の死にざまはどんなものなのか。

 

最近自分のまわりでは、父親も含め認知症の人がやたらめったら多いので、頭を過りつつ見ていたが、幸いそんな老人はいなくてよかったです。