もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

手作り感が贅沢なファンタジー「バロン」

パソコンの調子が悪く、ここんとこしょっちゅう悪態をつきながら画面に向かっている。もう買い替え時かな…お金ないのに…(~_~;)

 

家にパソコンのヤロウなんかいなかった1980年代の映画。
CGなんて小癪なものを使わず、合成とミニチェアで作られたすさまじく贅沢な異世界

 

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最近こういう手作り感溢れるファンタジーを思い出してよく見る。
ネバーエンディングストーリー」なんかもうめちゃくちゃ好きだった。
記憶の中ではこの「バロン」の方が昔のイメージなのに、実際は少し新しい。
この二つを抜いて断トツお気に入りだったのが「オズ」
子どもの頃からオズの魔法使いが狂ったように好きだったので、これは仕方ない。

 

この中ではバロンが一番新しいのに、一番古く感じるのは、バロンがじいさんだからかな。

 

バロンは「ほら男爵の冒険」という伝説をもとにして作られた映画。
有名な話ではあるが読んだことないので、実在したモデルがいたというのも知らなかった。

 

トルコ軍に攻撃されていたドイツの町は、廃墟となりつつも、人々は瓦礫と化した劇場で「ほら男爵の冒険」のお芝居を見ていた。しかし突然乱入してきた老人は、こんなのはウソっぱちだ、自分こそが本物のバロンであるとわめく。

 

物語は、彼が話す冒険談と現実の廃墟が交差しながら展開していく。劇団の娘である少女サリーは、砲撃で倒れているバロン老人を成り行き上死神から救ったことがきっかけになって、トルコ軍と戦う援軍を呼びにバロンといっしょに奇妙な冒険の旅に出ることになった。

 

行く先々の奇妙な世界で奇怪な人物たちとやりとりし、巻き込まれるこの感じはメリーポピンズみたいだと気づいた。

 

巨大な首だけの月の王様は見ているだけで楽しいし、貝殻の中から全裸で出てくるミロのヴィーナスはまさに絵の通り、というか絵よりも美しくセクシー。

 

こだわりぬいた感じがするセットや衣装は、もともとが劇場の舞台とリンクしている話なだけに、書割の家が出てきたりお芝居めいている。それがなぜか余計に本物っぽい。

 

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楽しかったのだなあと思う。
すごく面白い映画だったという記憶がずっとあって、夢の世界を現実にしてくれたという思いに満たされたのだろう、かつての自分は。

 

もちろん今だって楽しい。ファンタジーやSFはくらべものにならないくらい本物っぽい。ただ、テーマパークにいるときのようなしあわせ感は、今の自分には持てない。
今の自分だからなのだと思う。大人だから。

 

今の子供たちが見たらどうなのかな。やっぱりチャチいんだろうか。
けっこう楽しめると思うけど。
作りもの感があっても、お人形だってわかっていても、小道具がちょっと禿げていたりしても、それでもやっぱりテーマパークは楽しいじゃないか。

 

てことで、今日も悪態をつきつつがんばろう。
冒険に出るたびに若返るバロンが羨ましい。