もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

ようやく見れた渋時代劇「闇の歯車」

ずっと見たくて探していた「闇の歯車」
ようやく見つけた。

 

 

原作は読んでいないのだけど、サスペンス時代劇ということで面白そうだと思っていた。時代物って面白いものはほんとに面白いので。

 

橋爪功演じる伊兵衛が、飲み屋「おかめ」で狙う人物を物色する。
闇の世界で生きる無気力そうな佐之助、病気の妻を抱えている浪人、女との別れ話がこじれている若旦那、孫の世話ばかりでいつも愚痴ばかりこぼしている老人。


彼らはみんなわけありだが、共通しているのは喉から手が出るほど金がほしいこと。
店の常連というだけで、何の共通点もない、お互い話をしたこともない彼らに、伊兵衛が声をかける。
「儲け話がある」

 

戸惑いながらも金ほしさに引き込まれていく彼らだったが、佐之助だけ伊兵衛の言葉にうさん臭さを感じ断った。

 

しかし、佐之助の暮らしに異変が起きる。
無気力だった彼に、愛する人ができたのだ。
未来に希望を持ちたくなった佐之助は、もうけ話に手を出すことに――。

 

まあまあありがちなストーリーではありますが、なんせ伊兵衛が橋爪さんてことで魅せてくれます。紳士なおやじ伊兵衛の正体は盗賊。彼は素人たちを引き込み、押し込み強盗を計画していた。

 

選ばれし4人は、それぞれ機械仕掛けの職人だったり、夜目が効くという特徴を持っていたりして、それを生かしてなかなか面白い展開にもっていくんだろうと思っていたが。

 

正直、そういう部分はあまり強調されていなかった。時間的なものもあるので仕方ないとは思うが、キャラクターをもっと一人一人濃密に描いてほしかったなあ、という印象。まあ主役は佐之助だから彼メインになるのはしょうがないんだけど。

 

じじいはもっと渋キャラ、若旦那はもっとご陽気、浪人にはもっといい人感を出してほしかった。

 

結果的に予想していた痛快爽快な時代劇ではなかったのだけど、これはこれで面白く、結果的に彼らはすべて形は違えど〝女〟に翻弄されていたのだなあと、スケベと愛情にまみれて命をかけていく男たちを情け深く拝見しました。見れて満足。

 

江戸時代が舞台の時代劇は、やはり庶民が面白い。自分の映画の評価は、だいたいそんなに人とずれてないと思うけど、時代物だけはけっこうズレてる。駄作といわれているものが好きだったりする。

 

ストーリーそのものも良いけど、雰囲気とか空気感とか、くだらない会話とか妙に気になる。なのでダラダラしているのがわりと好きなのだ。たぶん江戸時代に自分は合っているんだろうなあ。だからその場に存在させてくれている感のあるものを好む傾向。

 

それでもやっぱり動乱の時代が舞台だと、迫力のストーリーがほしいねえ。
江戸時代だけど、今唐突に十三人の刺客を思い出した。あの狂ったゴロウちゃんは怖かった…
食事を犬食いするゴロウちゃん、「サルの首は固いのお~」というゴロウちゃん、あの時代劇は衝撃だった。まさにエンターテインメント時代劇の極致。