もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

殺されるバースデーを繰り返す…怖い設定なのにとにかく笑える

「私的には『スクリーム』とならんだ」と勧められて見た映画。

 

ハッピー・デス・デイ [AmazonDVDコレクション]

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  • 発売日: 2020/06/24
  • メディア: DVD
 

 

すっぱりはっきり言ってしまうと、「すごく面白かった!」
映画そのものの面白さという意味と、笑わせてもらえた面白さ。両方。

 

女子大生のツリーが、男子大学生カーターの部屋で目覚める朝から、物語は始まる。
カーターのことはまったく記憶にない。昨晩酔っ払って転がりこんだらしい。
ツリーは、かなりの遊び人でチャラい上に性格も悪い。
戸惑いながら優しく気を使うカーターのことも冷たくあしらい、とっとと寮に帰る。
本日はツリーの誕生日。その晩も懲りずにパーティーに出かけるが…。

 

ツリーはその日、何者かに殺されてしまうのですね。
ところが、彼女は目覚める…その日の朝と同じカーターの部屋で。
すべての出来事が昨日と同じように展開していく。
そして再びパーティーに出かけた彼女は再び何者かに殺される…

 

延々繰り返されるこの連鎖。普通なら飽きます、この展開。
でも飽きないんです。何度みても新しい1日が面白い。
要因は、ツリーのキャラ。どんどんキレていく彼女のキャラが壮絶に面白い。
最初はどちらかというと、「うっとおしいタイプの主人公」だと思って見ていた彼女のことが、どんどん好きになっていきます。
他のキャラ達も凝っていて、すべてが個性的で楽しい。そう、確かにスクリームっぽい。

もう一つの要因として、殺され方がバラエティーに富んでいて毎回違うので飽きない。さて、今日はどんな殺され方だって楽しみになっていたりする。
「そうきたかあ」

 

 

 

続編が出来たのもうなずける面白さ。
しかも、冒頭から凝っていて「え、こいつが今度主役!?」と予想外の人物の展開から始まる。
「え、ツリーは今回端役?」と不安になっていたら、とんでもない!
またもや殺人の被害者になりまくる。続編はストーリーも複雑で前回のキャラもしっかり絡んで登場し、満足満足。
できれば、パート3も望む。

 

笑えるホラーは、コメディとは違う世界観があって大好きですが、つまんないのはつまんないからなあ。あまりに残忍すぎるのも逆にちょっと辟易するし。
この映画は、ツリーが何度も被害者になるのに、残忍さを感じないのは、殺される瞬間が映像として出てこないというホラーにしてはめずらしい特異性にあるから。

 

とにかく、壮絶美しい彼女のプロポーションと目の下真っ黒にして頑張る姿が、笑えます。

 

“ばあちゃんの場面”が一番怖かった

とっても楽しみにしていた「IT THE END」

絶対面白いだろうと思っていたけど、予想どおり面白かった。

 

 

 

 

前作にも増してペニーワイズの存在感がすごい。
逆に言えば、ペニーワイズ無くしてはあり得ない。というか、「ビル・スカルスガルド」でなければあり得ない。あんなにカッコいいのに。

 

子供目線のドキドキ感なので、「ひゃーひゃー」言いながら見れるけど、「ひぃー」という怖さはない。ただ一箇所、何が怖いって中盤で出てくるばあちゃんが1番怖かった!

ベバリーが昔住んでいた家を訪ねる場面で、現在そこに住んでいるばあちゃんが…
あの動きったら……
あの表情ったら……

この映画の中であのシーンだけ空気感が違う。
死霊館」みたいな感じ。
子供目線で見ると、「あ、なんかこのばあちゃんおかしい」って気づくレベルで、怖さまでいかないのかもしれない。むしろ正体を現した時の方が怖い。
でも大人目線で見ると、正体現す以前の方が怖い。
あのばあちゃんの怖さは実はとても現実的で、居てもおかしくない人の怖さ。

変な動きの変な人は、子供にとっては「奇妙、好奇心、何かあるぞ」という対象。その後に起こる恐怖への予感。
大人にとっては「ひいー、危ない危ない、普通じゃない」で、ひたすら怖い怖い。その人の今の状況が怖い。

 

ミラーハウスも怖かった。子供の頃、母親の実家の近所の遊園地にあったのでよく行った。さほど怖いとも思わずけっこう好きだった。
真ん中に化け物のマネキンが立っていて、それが不気味なんだけど、迷路の目印にもなってて。
ミラーハウスも大人になった今の方が怖いかも。
ただの鏡なのに、いろんなよけいなこと考えてしまうからだろうな。ただの迷路ではなく。

 

前作同様ノスタルジーいっぱいのホラー。
子供の頃の友達って、ただ漠然と友達だったっていうより、何か小道具や風景と繋がってることが多い気がする。
これを見たらあいつのことを思いだす、とか、ここに来たらあの子のことを思いだすとか。

会ったら幻滅するやつもきっといるだろうし(自分も含め)。
映画のラスト近くで、ガラスに映った彼らのように、いつまでも記憶の中の少年少女でいようよ。

 

それにしても、続編とはいうものの、前作見てないとさっぱりわからないんじゃないかな。この映画の展開。

 

 

もう1人の自分と遭遇してしまった彼女

またなんとも薄気味の悪い映画だ。

 

 

アス (字幕版)

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  • 発売日: 2020/02/07
  • メディア: Prime Video
 

 

 

前作「ゲットアウト」は、“黒人”や“人種差別”というテーマが前面に押し出され、

それを刷り込まれてのホラーサスペンス、プラスのどんでん返しだった。

 

今回のテーマは“ドッペルゲンガー

もう一人の自分。

 

幼い頃、少女は遊園地のミラーハウスで自分と瓜二つの人間に出会ってしまう。

その時の恐怖がきっかけで、しばらく言葉を発することができなくなるというトラウマに。

物語は、彼女が成長した末に手に入れた幸せな家族の夏休みから始まる。

明るく優しいダンナ、ちょっと生意気な娘、まだまだ幼さが残る息子。

ビーチハウスで夏を過ごすことにしたファミリーは、友人一家と浜辺のリゾート地で合流することになる。しかしその場所は、彼女がかつてドッペルゲンガーと遭遇した忌まわしき場所だった。

その日の夜、ビーチハウスの外にじっとこちらを見つめて立っている4人の人間がいることに気づく。それらは皆、自分たち家族とそっくりなドッペルゲンガーだった…

 

ホラーというよりサスペンススリラーといった方がしっくりくる。

幽霊や化け物のように消えてなくなる存在ではなく、普通に実体のある“どこかおかしい”人間たちの怖さ。

ものすごく凝ったストーリーでもないのに、ものすごく薄気味悪いのは、ひとえに俳優さんたちの演技の凄さ。主役の女性のドッペルゲンガーのしわがれ声は、もうその日一日耳について離れなかった。

ぶっ飛んだ表情の迫力もスゴイスゴイ。

 

 

 

 

でももう一人のイカれた自分を演じるって楽しいだろうなと思ったりする。特に狂気に満ちたもう一人の自分なんて、誰でももっていそうな感じで。

ドッペルゲンガーの持つもう一人の自分というテーマは、そんなふうに自分の中のもう一つの存在という解釈にとらえられることが多いけど、この映画のテーマはそこではない。そこがまた面白いところ。

 

今の幸せは、不幸と悲劇との表裏一体で存在するもの。という解釈。

まるで、地球規模の悲劇に見舞われている、今の私たちの状態そのものではないか。

当然のこととして堪能してきた平和と贅沢を根底から覆されてしまった私たち。

この物語の主人公たちのように戦えるだろうか。

いろんな意味で怖い映画だ。

 

それにしても、人類を脅かすのはターミネーターだと信じていたのに、まさかバイオハザードだったとは…。

 

 

ペンタゴンペーパーズに見る壮絶なマスコミ

コロナパニックのさ中、うちの母親は毎日ワイドショーばかり見ている。

始めの頃は、「怖いねえ~」レベルだったけど、日がたつにつれてコメントに変化が現れる。

「コロナは中国に生息している化け物から発生したらしいよ」

いったいどんな報道見てるんだか。

 

日を追うごとに熱を帯びてきて、「イタリアよりは日本は医療技術が優れているーー」みたいなことを電話で力説していた。

それを聞いたあとで、近所のスーパーにいったらおばちゃん2人が「イタリアの医療技術はーー」と母親と同じことを話していた。今日のワイドショーのテーマはそれだったんだなと思った。

 

段々「外に出るのが怖い」と言い出し、「買い物に行くのが怖い。食パンが無い」と言うので、「行ってこい!」と命令を下し、「あんまりワイドショーばかり見ないほうがいいよ」と助言しておいた。

 

最近は、若者たちの悪口を言いだしている。世界中どこも同じようなもんなんだろうけど。ワイドショーを批判するつもりはない。見る人も批判はしない。ひっくりかえりそうなほど質の悪いバラエティーよりもよっぽどマシだと思う。

 

でも実際、かしこい人たちばかりが見ているわけじゃない。理解力がおとろえまくっているうちの母親のようなばーさんたちも見ているわけで。私自身見ていないので何とも言えないが、中国に化け物は住んでいないと思うし、そんな報道はしていないと思う。

 

 

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 (字幕版)

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  • 発売日: 2018/06/22
  • メディア: Prime Video
 

 

 

前置きが長すぎたけど、そんなさ中に「ペンタゴンペーパーズ」を見た。

もちろんワイドショーとは何の関係もありませんが、マスコミの凄さをスピルバーグの力と、メリルストリープ、トム・ハンクスの鳥肌がたつような演技で、カッコよく認識させてくれた。

 

「今、医療関係者たちは兵士だ」とどこかの国のえらいさんが言ったが、まさにその通りだと思う。その医療従事者の家族を差別しているというバカもいるみたいで、気の毒なことこのうえないけど。

 

医療関係に加えてマスコミもそうだと思う。情報が何より必要な今、世界中のマスコミは最前線で闘っている。うちの子も放送関係の中にいるので、自分たちが倒れたら影響力が大きいという彼らの必死感がわかる。絶対感染者を出さないという気合が伝わってくる。

「マスクが無いので…」とデカいバンダナで鼻と口を覆っているギャングみたいな人も居たそう。

 

マスコミの言動は、人の心を左右するとは思わない。左右させる“きっかけ”になるのだと思う。ペンタゴンペーパーズでも、ベトナム戦争が間違いであったという国民の意見を表に出すきっかけになった。世界を動かすきっかけを、マスコミは握っているし、それはやはり命をかけた戦いでもあるわけで。送り出したきっかけは、正しいことばかりとは限らないのだから、自分たちにそのまま跳ね返ってくるということもありうるわけだし。

 

メリルストリープのくだした勇断は、それが成功であっても失敗であっても、家族を含め彼女を信じる人たちは、きっと彼女を理解しているし、誇りに思っていたに違いない。

 

今コロナと戦う世界の兵士のみなさん、心の底から応援しています。あなたたちだけが頼りです。そしてマスコミには私たちに考えるきっかけをしっかりと与えてください。かしこい国民たちはきっと頑張れる。

 

 

 

「海外旅行を我慢できないんは、若者ばっかりじゃないで。近距離での接待をともなう深夜の飲食店やショーパブに若者は行かんで。この時期に合コンやってるのんきなプロ野球選手もおるしなあ。うちの旦那の上司が大人数でお食事会したい言い出してるみたいで、困ってるわあ」

と、今日の電話で母親と話そう。

 

 

 

 

 

 

「Summer of 84」は映画そのものがどんでん返し

何を書いてもネタバレになりそう。

 

サマー・オブ・84(字幕版)

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  • 発売日: 2019/11/20
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これだけは言ってもいいと思うが、スカっと爽やかな気分で終わりたい人は絶対見ない方がいい。

けど、後味が悪いかというと、そんなこともないような気がする。「ヘレディタリー」なんかに比べればよっぽど普通。

 

題名からして、80年代を舞台にした少年たちの話。みなさん口コミでも書いていらっしゃるように、まず思い浮かべるのは「スタンドバイミー」。少年たちのキャラ設定を見ても完全なオマージュ。

 

Summer of 84 [DVD]

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  • 発売日: 2018/09/04
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あるアメリカ郊外の町で、少年たちが行方不明になる事件が起こり始める。主人公の少年は、隣人である男の行動に疑問を持ち始め、彼を連続殺人犯として監視することに。半信半疑ながらも協力する仲間たち。なんせその怪しい男は警官なのだ……。

 

彼らの服装や会話がことごとく80年代しているが、映画の場面やストーリーそのものが「どこかで見た感」を感じさせる。何の映画に似ているのか、どんな映画と似ているのかは思いつかないが、「あ、この感じありそう」「この設定ありがち」なのだ、常に。

 

80年代は数々の名作ホラーが誕生し、近年続々とリメイクや続編が公開されている。ある意味1つのホラーのパターンが形作られたような感じ。

 

ホラー映画は予測不能とはいいながら、「絶対にこうなる」「絶対にこうにはならない」という安心感や定番みたいなものが存在する。だから気を抜くべきところやラストホッとして終わる感じは共通。

 

SUMMER OF '84/180G VIN [12 inch Analog]

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  • アーティスト:OST
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それらのパターンをことごとくひっくり返したのがこの映画。気を抜くところがまるでない。誰が犯人なのかわからないのは当然のことながら、どんな展開になっていくのかまるで予測不可能。だからラストがああなるのは必然的なのだ。

 

残忍な場面などほとんど無いに等しいのに、妙な生々しさがあり、変にリアルで怖い。このリアルさは、スマホ1つで吹っ飛ぶリアルさだ。ここにスマホ1つ放り込めば、まったく違う展開と雰囲気の映画になってしまうだろう。

 

何でもできる、何でもわかる怖さと、何もわからない、自分で動かなければ真実を発見することはできない怖さ。そこから膨らみまくる想像力は勇気と危険のリスクを伴う怖さ。変に怖いリアルさを感じるのは、私たちの脳がもうそんな怖さを忘れてしまいかけているからに違いない。

 

現代の現実感を丸ごとひっくり返し、ノスタルジックで奇妙な恐怖感を味わわせてくれる不思議なホラーだ。

 

どこから化け物が出てくるかが見せ場「ポラロイド」

コロナも怖いけど、花粉の方がもっと怖い

せっかくなら三拍子揃えたいということで、映画も怖いのでいこう。

 

 

ポラロイド(字幕版)

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  • 発売日: 2020/01/08
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アンティークなポラロイドカメラを手にいれたカメラ好きの女子高生。

しかしそのポラロイドは呪われていて、写った人物が化け物に襲われて殺されてしまうという、極単純なストーリーの映画。

グロさがほしい人にこの映画は向かない。というのも血まみれでエグッたらしく横たわる被害者たちの画像が出てこないからだ。

誰が襲われるのかは、見ているこちら側はもう知っている。見せ場はそれぞれ被害者によって違う化け物の登場の仕方。

 

全体的に暗い画面。

来るぞ来るぞ、どこだどこだと、目を凝らせておいて、ドーンと出てくる。その間の良さにうわっと自然にのけぞってしまうこちら側。やられた。

 

予想外に面白かったのが、ストーリーがけっこうしっかりと作られていた点。後半ポラロイドにまつわるいわくで展開していくが、「えっ」「そうだったの?」と最後まで飽きさせずに引っ張ってくれる。

 

 

 

 

この映画なかなか只者ではないぞ、と思って調べたら去年公開された「チャイルドプレイ」の監督で、制作は「IT」のロイ・リー。やっぱりな。

希望に満ちたホラー映画の未来だ。

 

しかし、化け物よりもコロナよりも鼻がつまる恐怖…マスクが切れる恐怖、今夜も眠れない恐怖…

 

 

 

 

見ず嫌いを克服「ブルースブラザース」は最高

食わず嫌いとか、行かず嫌いとかいろいろあるけど、だいたいにおいて嫌いな理由というのは強いて無かったりする。

「どうせおいしくないに決まってる」とか「絶対つまんない場所だって」とか、まるで濡れ衣のような理由。

そのなかで、嫌いなヤツが好きだから、そいつごと嫌いになった。という理不尽な理由もある。名作「ブルースブラザース」は、自分にとってまさにそれだった。

だって、見たら必然的にそいつのこと思いだすとしたら嫌でしょ。

しかし記念すべき令和元年、ついに克服しました。

 

ブルース・ブラザース [DVD]

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…めちゃくちゃ良かった…

絶対良いに決まってるとは思っていたけど、ここまでアメリカあ~の楽しい映画だとは思ってなかった。

主役の二人は主役でありながら、案内役のようであり、数々のスターたちを引き立てる役目でもあり。けれど、しっかり一番おいしいとこ持っていく存在でもあり。

今のハリウッド映画より、“間” の取り方がなんかいいなあ。わざとらしいのにわざとらしくない。ミュージカル映画のようでミュージカルっぽさをあまり感じない。映画自体が独特なリズムに乗ってるような感じ。だからしんどくない。(名作でもけっこうしんどくなる映画も多い)

関西人の宿命なのか、二人のやりとりを見ていると、独特の“間”が漫才のかけあいのように感じてくる。兄弟ということで、「ミキ」とか「中川家」とか。

 

ブルース・ブラザース [Blu-ray]

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DVDの中に収録されている制作者、出演者たちが語るエピソードがまた楽しくて、本物のパトカーや警察の方々の協力だったというのが、一番驚いた。なんせCGの無い時代、「これどーやって撮ってんの?( ゚Д゚)」という場面は、確実に本物。すごい!スタントたちもすごい!

出演者たちのビッグさもすごい映画だけど、スピルバーグは知りませんでした。

 

エピソードを語る出演者の中に、主役のジョン・べルーシはいない。30代で亡くなっている。原因はやはり…

どうしてかなあ。学ばないなあ。みんな長生きしようよお。天才的でかっこいいじじばばぶりを発揮して、凡人を楽しませてほしいなあ。破天荒ぶりも、「なーんだ薬のせいだったのか」って思うの嫌だしカッコ悪いよ。