もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

え?どういうこと?という瞬間を味わおう「アイデンティティー」

豪雨の中、道路が遮断され、避難するべく一軒のモーテルに集まった10人の男女。
交通事故にあった家族、護送中の囚人と刑事、女優と運転手――さまざまな事情を抱えた人たちが一晩集うことになった。

 

 

そして起こる連続殺人事件。
出だしの期待とインパクトを背負って、まず第一に転がったのは女優の首。
まさに外界から遮断された空間で起こるクローズドサークルのミステリー。
犯人はこの中にいる――。

 

次々と死んでいく状況、現場に残された部屋番号が記されたルームキー、パニックに陥るメンバーたち、お約束の展開は退屈する時間がないワクワク度。

 

犯人は誰か?
という目線で見ているこちら側だが、
あまりの異常な状況に「あれ?」という瞬間が訪れる。

 

そしてメンバーたちに共通する奇妙な一致。
え、どういうこと――?
あり得ないでしょ。
これってホラー…?

 

そこで唐突に明かされるこの物語の正体。
そういうことかあ~そっか、そっかあ~おかしいと思ったんだあ~

 

 

で、すべてを知った視聴者は、新たな目線で犯人の正体を探す。
途中、おや?何?と思っていながらそのまま頭から逃がしていた伏線を思い出す。


ある本格ミステリーの題名を連想させる会話も思い出す。「え、そっちの名作?」「あれじゃないの?」とこちらの思考を間違った方に誘導させるやり方だったのか。


まるで本格ミステリーを読んだ後のようだ。
もう一回最初から読みたくなる。

 

犯人は誰かということよりも、設定と展開自体がおもしろい。
映像化ならではってとこだなあ。