YouTubeの中のPOVホラー「コンジアム」

ホラー映画の進化ってスゴイなあって思うけど、
凄すぎて逆に真実味はないなあと感じることも多い。

まあ映画なんだからあたりまえなんだけど。
でも真実味がなくてもいいから、現実味はほしい。

コンジアム [DVD]

現実味ホラーの代表格でもあるPOV方式。
有名なのはパラノーマルアクティビティとかだけど、この方式は怖さの代わりにヘタすると不自然だったりすることもけっこうある。
そこまで撮ってんのおかしくない？とか。

考えてみればYouTubeならそれがない。
記録として撮るのではなく、誰かに向かって配信しているのだから。
逐一報告して、細かいとこまで見せてナンボの世界。

YouTubeで恐怖映像を配信している人気チャンネルが、CNNにも選出された「世界7大心霊スポット」のコンジアム精神病院に挑戦する。

映像は、制作のおにーちゃんおねーちゃんのコンパのようなチャラい飲み会から記録される。それがアメリカホラーっぽくて良い。絶対こいつは殺られるぞと視聴者のお楽しみ予測タイム。

いざ、舞台となるコンジアム。
こちらは実在の建物で、世界的に有名な心霊スポットであるというのも本当のことらしい。
若者たちの廃屋探検感が実にリアルでワクワクする。
本人たちも最初はワクワクしている。

現場のカメラ係は始終撮影していて、メンバーたちもそれぞれカメラをつけて動いている。少し離れた所に設置されたテントの中にはリーダーらしきにーちゃんが、モニターを見てチェック。

それらの映像がテンポよく切り替わっていくので、設置して記録していくだけのPOVより動きがあって迫力がある。

こういうホラーのストーリーはあって無いようなもの。
少しずつ彼等に異変が起こっていき、最後はえらいことになるのだが、現実味がある分だけどんなふうにクライマックスをもっていくかに非常に興味をもつ。

この状況でぶっとんだCG丸出しの化け物はやめてくれよ、と思っていたが――。
ちゃんと怖かった。

憑依されたおねーちゃん (この映画の見どころみたいだけど) の顔は、唐突だったので「うわっ」となりました。

遠くの方に誰かいる――とか、落書きが変化している――とか、地味なのに実際あったらめちゃくちゃ怖い怖がらせ方もなかなか。

欧米ホラーのスピーディーさ、アジアホラーの静かで怖い「間」の取り方が両方盛り込まれた楽しい韓国ホラーだった。

この映画は娘に勧められたのだけど、娘はフィリピンの英語の先生におすすめされたそうで(彼女のご主人がホラー好きなのだとか)
どこにも行けないコロナ禍の、静かなアジア交流でした。