もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

もう1人の自分と遭遇してしまった彼女

またなんとも薄気味の悪い映画だ。

 

 

アス (字幕版)

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  • 発売日: 2020/02/07
  • メディア: Prime Video
 

 

 

前作「ゲットアウト」は、“黒人”や“人種差別”というテーマが前面に押し出され、

それを刷り込まれてのホラーサスペンス、プラスのどんでん返しだった。

 

今回のテーマは“ドッペルゲンガー

もう一人の自分。

 

幼い頃、少女は遊園地のミラーハウスで自分と瓜二つの人間に出会ってしまう。

その時の恐怖がきっかけで、しばらく言葉を発することができなくなるというトラウマに。

物語は、彼女が成長した末に手に入れた幸せな家族の夏休みから始まる。

明るく優しいダンナ、ちょっと生意気な娘、まだまだ幼さが残る息子。

ビーチハウスで夏を過ごすことにしたファミリーは、友人一家と浜辺のリゾート地で合流することになる。しかしその場所は、彼女がかつてドッペルゲンガーと遭遇した忌まわしき場所だった。

その日の夜、ビーチハウスの外にじっとこちらを見つめて立っている4人の人間がいることに気づく。それらは皆、自分たち家族とそっくりなドッペルゲンガーだった…

 

ホラーというよりサスペンススリラーといった方がしっくりくる。

幽霊や化け物のように消えてなくなる存在ではなく、普通に実体のある“どこかおかしい”人間たちの怖さ。

ものすごく凝ったストーリーでもないのに、ものすごく薄気味悪いのは、ひとえに俳優さんたちの演技の凄さ。主役の女性のドッペルゲンガーのしわがれ声は、もうその日一日耳について離れなかった。

ぶっ飛んだ表情の迫力もスゴイスゴイ。

 

 

 

 

でももう一人のイカれた自分を演じるって楽しいだろうなと思ったりする。特に狂気に満ちたもう一人の自分なんて、誰でももっていそうな感じで。

ドッペルゲンガーの持つもう一人の自分というテーマは、そんなふうに自分の中のもう一つの存在という解釈にとらえられることが多いけど、この映画のテーマはそこではない。そこがまた面白いところ。

 

今の幸せは、不幸と悲劇との表裏一体で存在するもの。という解釈。

まるで、地球規模の悲劇に見舞われている、今の私たちの状態そのものではないか。

当然のこととして堪能してきた平和と贅沢を根底から覆されてしまった私たち。

この物語の主人公たちのように戦えるだろうか。

いろんな意味で怖い映画だ。

 

それにしても、人類を脅かすのはターミネーターだと信じていたのに、まさかバイオハザードだったとは…。

 

 

ペンタゴンペーパーズに見る壮絶なマスコミ

コロナパニックのさ中、うちの母親は毎日ワイドショーばかり見ている。

始めの頃は、「怖いねえ~」レベルだったけど、日がたつにつれてコメントに変化が現れる。

「コロナは中国に生息している化け物から発生したらしいよ」

いったいどんな報道見てるんだか。

 

日を追うごとに熱を帯びてきて、「イタリアよりは日本は医療技術が優れているーー」みたいなことを電話で力説していた。

それを聞いたあとで、近所のスーパーにいったらおばちゃん2人が「イタリアの医療技術はーー」と母親と同じことを話していた。今日のワイドショーのテーマはそれだったんだなと思った。

 

段々「外に出るのが怖い」と言い出し、「買い物に行くのが怖い。食パンが無い」と言うので、「行ってこい!」と命令を下し、「あんまりワイドショーばかり見ないほうがいいよ」と助言しておいた。

 

最近は、若者たちの悪口を言いだしている。世界中どこも同じようなもんなんだろうけど。ワイドショーを批判するつもりはない。見る人も批判はしない。ひっくりかえりそうなほど質の悪いバラエティーよりもよっぽどマシだと思う。

 

でも実際、かしこい人たちばかりが見ているわけじゃない。理解力がおとろえまくっているうちの母親のようなばーさんたちも見ているわけで。私自身見ていないので何とも言えないが、中国に化け物は住んでいないと思うし、そんな報道はしていないと思う。

 

 

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 (字幕版)

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  • 発売日: 2018/06/22
  • メディア: Prime Video
 

 

 

前置きが長すぎたけど、そんなさ中に「ペンタゴンペーパーズ」を見た。

もちろんワイドショーとは何の関係もありませんが、マスコミの凄さをスピルバーグの力と、メリルストリープ、トム・ハンクスの鳥肌がたつような演技で、カッコよく認識させてくれた。

 

「今、医療関係者たちは兵士だ」とどこかの国のえらいさんが言ったが、まさにその通りだと思う。その医療従事者の家族を差別しているというバカもいるみたいで、気の毒なことこのうえないけど。

 

医療関係に加えてマスコミもそうだと思う。情報が何より必要な今、世界中のマスコミは最前線で闘っている。うちの子も放送関係の中にいるので、自分たちが倒れたら影響力が大きいという彼らの必死感がわかる。絶対感染者を出さないという気合が伝わってくる。

「マスクが無いので…」とデカいバンダナで鼻と口を覆っているギャングみたいな人も居たそう。

 

マスコミの言動は、人の心を左右するとは思わない。左右させる“きっかけ”になるのだと思う。ペンタゴンペーパーズでも、ベトナム戦争が間違いであったという国民の意見を表に出すきっかけになった。世界を動かすきっかけを、マスコミは握っているし、それはやはり命をかけた戦いでもあるわけで。送り出したきっかけは、正しいことばかりとは限らないのだから、自分たちにそのまま跳ね返ってくるということもありうるわけだし。

 

メリルストリープのくだした勇断は、それが成功であっても失敗であっても、家族を含め彼女を信じる人たちは、きっと彼女を理解しているし、誇りに思っていたに違いない。

 

今コロナと戦う世界の兵士のみなさん、心の底から応援しています。あなたたちだけが頼りです。そしてマスコミには私たちに考えるきっかけをしっかりと与えてください。かしこい国民たちはきっと頑張れる。

 

 

 

「海外旅行を我慢できないんは、若者ばっかりじゃないで。近距離での接待をともなう深夜の飲食店やショーパブに若者は行かんで。この時期に合コンやってるのんきなプロ野球選手もおるしなあ。うちの旦那の上司が大人数でお食事会したい言い出してるみたいで、困ってるわあ」

と、今日の電話で母親と話そう。

 

 

 

 

 

 

「Summer of 84」は映画そのものがどんでん返し

何を書いてもネタバレになりそう。

 

サマー・オブ・84(字幕版)

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  • 発売日: 2019/11/20
  • メディア: Prime Video
 

 

これだけは言ってもいいと思うが、スカっと爽やかな気分で終わりたい人は絶対見ない方がいい。

けど、後味が悪いかというと、そんなこともないような気がする。「ヘレディタリー」なんかに比べればよっぽど普通。

 

題名からして、80年代を舞台にした少年たちの話。みなさん口コミでも書いていらっしゃるように、まず思い浮かべるのは「スタンドバイミー」。少年たちのキャラ設定を見ても完全なオマージュ。

 

Summer of 84 [DVD]

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  • 発売日: 2018/09/04
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あるアメリカ郊外の町で、少年たちが行方不明になる事件が起こり始める。主人公の少年は、隣人である男の行動に疑問を持ち始め、彼を連続殺人犯として監視することに。半信半疑ながらも協力する仲間たち。なんせその怪しい男は警官なのだ……。

 

彼らの服装や会話がことごとく80年代しているが、映画の場面やストーリーそのものが「どこかで見た感」を感じさせる。何の映画に似ているのか、どんな映画と似ているのかは思いつかないが、「あ、この感じありそう」「この設定ありがち」なのだ、常に。

 

80年代は数々の名作ホラーが誕生し、近年続々とリメイクや続編が公開されている。ある意味1つのホラーのパターンが形作られたような感じ。

 

ホラー映画は予測不能とはいいながら、「絶対にこうなる」「絶対にこうにはならない」という安心感や定番みたいなものが存在する。だから気を抜くべきところやラストホッとして終わる感じは共通。

 

SUMMER OF '84/180G VIN [12 inch Analog]

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それらのパターンをことごとくひっくり返したのがこの映画。気を抜くところがまるでない。誰が犯人なのかわからないのは当然のことながら、どんな展開になっていくのかまるで予測不可能。だからラストがああなるのは必然的なのだ。

 

残忍な場面などほとんど無いに等しいのに、妙な生々しさがあり、変にリアルで怖い。このリアルさは、スマホ1つで吹っ飛ぶリアルさだ。ここにスマホ1つ放り込めば、まったく違う展開と雰囲気の映画になってしまうだろう。

 

何でもできる、何でもわかる怖さと、何もわからない、自分で動かなければ真実を発見することはできない怖さ。そこから膨らみまくる想像力は勇気と危険のリスクを伴う怖さ。変に怖いリアルさを感じるのは、私たちの脳がもうそんな怖さを忘れてしまいかけているからに違いない。

 

現代の現実感を丸ごとひっくり返し、ノスタルジックで奇妙な恐怖感を味わわせてくれる不思議なホラーだ。

 

どこから化け物が出てくるかが見せ場「ポラロイド」

コロナも怖いけど、花粉の方がもっと怖い

せっかくなら三拍子揃えたいということで、映画も怖いのでいこう。

 

 

ポラロイド(字幕版)

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  • 発売日: 2020/01/08
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アンティークなポラロイドカメラを手にいれたカメラ好きの女子高生。

しかしそのポラロイドは呪われていて、写った人物が化け物に襲われて殺されてしまうという、極単純なストーリーの映画。

グロさがほしい人にこの映画は向かない。というのも血まみれでエグッたらしく横たわる被害者たちの画像が出てこないからだ。

誰が襲われるのかは、見ているこちら側はもう知っている。見せ場はそれぞれ被害者によって違う化け物の登場の仕方。

 

全体的に暗い画面。

来るぞ来るぞ、どこだどこだと、目を凝らせておいて、ドーンと出てくる。その間の良さにうわっと自然にのけぞってしまうこちら側。やられた。

 

予想外に面白かったのが、ストーリーがけっこうしっかりと作られていた点。後半ポラロイドにまつわるいわくで展開していくが、「えっ」「そうだったの?」と最後まで飽きさせずに引っ張ってくれる。

 

 

 

 

この映画なかなか只者ではないぞ、と思って調べたら去年公開された「チャイルドプレイ」の監督で、制作は「IT」のロイ・リー。やっぱりな。

希望に満ちたホラー映画の未来だ。

 

しかし、化け物よりもコロナよりも鼻がつまる恐怖…マスクが切れる恐怖、今夜も眠れない恐怖…

 

 

 

 

見ず嫌いを克服「ブルースブラザース」は最高

食わず嫌いとか、行かず嫌いとかいろいろあるけど、だいたいにおいて嫌いな理由というのは強いて無かったりする。

「どうせおいしくないに決まってる」とか「絶対つまんない場所だって」とか、まるで濡れ衣のような理由。

そのなかで、嫌いなヤツが好きだから、そいつごと嫌いになった。という理不尽な理由もある。名作「ブルースブラザース」は、自分にとってまさにそれだった。

だって、見たら必然的にそいつのこと思いだすとしたら嫌でしょ。

しかし記念すべき令和元年、ついに克服しました。

 

ブルース・ブラザース [DVD]

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…めちゃくちゃ良かった…

絶対良いに決まってるとは思っていたけど、ここまでアメリカあ~の楽しい映画だとは思ってなかった。

主役の二人は主役でありながら、案内役のようであり、数々のスターたちを引き立てる役目でもあり。けれど、しっかり一番おいしいとこ持っていく存在でもあり。

今のハリウッド映画より、“間” の取り方がなんかいいなあ。わざとらしいのにわざとらしくない。ミュージカル映画のようでミュージカルっぽさをあまり感じない。映画自体が独特なリズムに乗ってるような感じ。だからしんどくない。(名作でもけっこうしんどくなる映画も多い)

関西人の宿命なのか、二人のやりとりを見ていると、独特の“間”が漫才のかけあいのように感じてくる。兄弟ということで、「ミキ」とか「中川家」とか。

 

ブルース・ブラザース [Blu-ray]

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DVDの中に収録されている制作者、出演者たちが語るエピソードがまた楽しくて、本物のパトカーや警察の方々の協力だったというのが、一番驚いた。なんせCGの無い時代、「これどーやって撮ってんの?( ゚Д゚)」という場面は、確実に本物。すごい!スタントたちもすごい!

出演者たちのビッグさもすごい映画だけど、スピルバーグは知りませんでした。

 

エピソードを語る出演者の中に、主役のジョン・べルーシはいない。30代で亡くなっている。原因はやはり…

どうしてかなあ。学ばないなあ。みんな長生きしようよお。天才的でかっこいいじじばばぶりを発揮して、凡人を楽しませてほしいなあ。破天荒ぶりも、「なーんだ薬のせいだったのか」って思うの嫌だしカッコ悪いよ。

 

「アナベル死霊博物館」は怖いを通り越して楽しい!

怖いという感情を通りこして、最近ではワクワクしてしまう死霊館シリーズ。

今回はそんなファンをキャッキャッと言わせてくれるお愉しみがたくさん盛り込まれていた。

当然アナベルは大活躍してくれてる。

呪怨のオマージュまで見せてくれる大サービス。

あの不気味を極めた顔が、かわいくさえ思えてくるわ。

 

 

 

 

劇中のテレビの画面に、本物のアナベルを連想させる人形が出てきて「おっ」と思わせてくれる。

本物のアナベルって、アメリカの郷土人形ともいうべき「ラガディ・アン」なんですね。どっかの画像で本物見たけど、ただの可愛らしいぬいぐるみ。ちょっとはにかんでいる表情にすら見える素朴な姿で、ガラスケースに封印されている状態が逆に怖い。

 

人形というのは、別にいわくがなくても怖い。うちの市松人形も中古でも何でもないけど、子供が小さい頃から怖がってしょうがなかったので、見えないように前面にウルトラマンのジグソーパズル置いてる。

震災の時にあらゆる物が吹っ飛んでぐちゃぐちゃになっていたのに、この人形だけ平然とタンスの上に乗っていたのには、さすがに引いた。まあ偶然だけども。

市松人形嫌いな人はけっこう多い。私も嫌い。これ姑さんがくれたので捨てるに捨てられない。人形ってほんと処分に困る。

 

死霊館の本物といえば、ウォーレン夫妻。もうあのお二人の配役以外考えられなくなってる。他の俳優さんが演じると、きっとものすごい違和感だろうなあ。

今回舞台になった夫妻の博物館も実際にあるようで、映画ではそのままの雰囲気がすごく出ている。ちょっと行ってみたくなったりして…。

 

博物館の中に収められているいわくつきの物たち。それぞれがどんなエピソードを持っているのか、その恐ろしいお話を教えてほしい。今回も新しいキャラが出演して、まだまだお話の幅が広がる余地が溢れてます。

嬉しいったら。

 

 

 

けっこう面白かったB級ホラー「エアポート2018」

飛行機の中という設定は、お金かからんだろうなあ。

しかも密室度満点だし、なんか予想外の出来事が起こった時の緊迫感はハンパない。

 

 

エアポート2018(字幕版)

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  • 発売日: 2018/08/07
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お金かかってなさそうなB級ホラー。

やたらしっかりしてる客室乗務員、やたらクセのありすぎる乗客たちという、ありがちな設定の飛行機に、怪奇現象が起こり始める。

奇妙な出来事に遭遇したり、化け物を目撃したりするのは、前半は一部の乗客だけなんだけど、中盤にさしかかるにつれて乗客たちは飛行機の中で怪奇現象が起こっていることを認識し始める。

で、とうとう化け物は堂々と乗客たち全員の前に姿を現す。今までの緊迫感が一挙に爆発するという感じで、このシーンけっこう気に入ってる。

正直化け物たちの特殊メイクは安物っぽい。だから、目撃された化け物たちが全員集合して乗客にからんでくる場面なんかは、人間丸出し感が…。

こういうB級ホラーは、評価が分かれるし、好き嫌いもすごくあると思うけど、自分としてはけっこう好きですね。

 

 

飛行機貯金箱 ANA Ver.

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  • 発売日: 2019/02/23
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しかもこのホラーは、後半人間にしか見えなくなってしまった化け物たちから、見ている者の気持ちを謎解きの方へ向けてくれる。化け物が出てきた理由と、誰に対して恨みを持っていたのか。

グロイB級はあんまり好きじゃないので(かなり遭遇率高いですが)、今回の映画は楽しかった。でもやっぱり題名がねえ~
パニックが飛行機に起こったら、とにかくエアポートに始まって、それがいつ起こったかの年をつけるっていう、意味のわからない習わし。

 

エアポート’80(字幕版)

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  • メディア: Prime Video
 

 

 

エアポート2014(字幕版)

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  • 発売日: 2014/11/01
  • メディア: Prime Video
 

 

 

エアポート'75 (字幕版)

エアポート'75 (字幕版)

  • 発売日: 2014/03/15
  • メディア: Prime Video
 

 ふざけてるなあ。