昔々の小学生の頃――いや、ひょっとして中学生になっていたかもしれないけど、だいたいその辺。
ブライアン・デ・パルマ監督にはまったことがあった。
というか、監督の名前なんか知らなくて「ナンシーアレン」が気に入って、この監督の映画にたて続けに出演していたこの女優さんにつられて、必然的に知ったという感じ。
初めて見たのは「殺しのドレス」
じいちゃんばあちゃんの家で垂れ流しにかかっていたテレビで偶然見た。
大人になってから見ると狂気的殺人事件のこの映画の、いったいどこが気に入ったのかわからないが、ナンシーアレンを見て「なんてキレイな人なんだ…」と思った記憶はある。これも今から見ると、そこまで美形というほどでもないんだけど。
サスペンスやミステリーが子供の頃から好きだったので、おそらくストーリーも気に入ったのだろうけど、ちゃんと「オズの魔法使い」や「サウンドオブミュージック」なんかもみてました。
ほとんどが、このじいちゃんばあちゃんの家の垂れ流しテレビのおかげですが。
で、ある日やってしまった――。
この「ミッドナイトクロス」を、ラストだけ見てしまうという愚行を。
殺しのドレスと共に評価の高いこの映画は、衝撃的なラストが有名なのだが、それをいきなり見てしまったもので……。
ちゃんと見なきゃと思いつつ、「どうせ知ってるしなあ~」と年月がたって…。
で、数十年の歳月を経てようやく観ました。というのも、娘がレンタルしたので。
「若き日のジョントラボルタ」が出ている評価の高いサスペンスという理由で。
そうか、ジョントラボルタだったんだ。ナンシーアレンしか記憶にないけど。
映画の音声の仕事をしているジャックは、音を拾いにいった公園で自動車事故を目撃してしまう。川に落ちた車から救い出したのはサリーという女性。運転席の男は死亡したが、彼は大統領選挙の有力候補だった。
見ず知らずの人物から事故のことを口留めされたジャック。本当なら何事もなく単なる事故と片付けられていた一件だったが、ジャックが拾った音声の中にとんでもないものが録音されていた。
それは銃声。
サリーと親しくなったジャックは、共に真相を突き止めるべく動き出すが、そこはスムーズにいくはずがない。お約束のように殺し屋の手が2人に伸び始める――。
1981年公開ということで、音声を含めアナログ感がハンパ無い。
でもそれがすごくおしゃれでいい感じ。
必死で録音テープを守ろうとするジャックだけど、今なら一発でネットにアップだ。
ブライアン・デ・パルマ監督の危機をあおる独特のカメラワークと世界観が絶妙で、最後まで飽きさせない。なんせあの「キャリー」や「ミッションインポッシブル」を作られたお方ですから。
「あーこんな話だったんだあ」
と、満足。そして衝撃のラスト。
キャリーではいじわるな女子高生、ロボコップでは勇ましい女刑事。
でも、この映画のナンシーアレンはちょっとおバカな感じの可愛すぎる女の子。
現在70歳を超えておられる彼女。
年くうと「ウソ…」と言いたくなるくらいデブばーさんになってしまうハリウッド女優さんが多い中、今もとっても美しいばーちゃんとなっているナンシーアレン。
映画でひとめぼれさせてくれたあなたのようなばーちゃんに、私もいつかなりたい。