もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

カメラの向こうの気持ち悪さ「クリープ」

日本での劇場公開はなく、ネットフリックスで配信されている映画。

 

映像作家のアーロンは、報酬のいいビデオ撮影の依頼を引き受け、山の中の別荘へと向かう。そこにはジョセフと名乗る男が一人で待っていた。

 

 

ジョセフの依頼は自分の日常を撮ること。
その理由は、自分は不治の病でもう長くはなく、生まれてくる子のために父親である自分の姿を残しておきたいということだった。

 

納得したアーロンは、早々カメラを回し始める。この映画はアーロンが映す映像からなるPOV方式で、撮られるのはジョセフ。なんと登場人物はこの2人だけ。

 

ホラーの部類に入る映画なのだろうけど、残酷なシーンやお化けの類は出てこない。ただ時折ジョセフがつまらない驚かしをやるので、アーロンともども飛び上がる。

 

カメラを回し始めると、ジョセフはいきなりお風呂に入る。まだ見ぬ息子とお風呂に入っている様子を一人で演じるのだが、それを見ているだけで「こいつはちょっとおかしいのだな」と見ている側は感じ始める。

 

その後、唐突に友達だという狼のマスクをかぶったり、散歩で爆走したりと、予想通りジョセフの言動はおかしなヤツというのをしっかりとアピールし続けてくれる。

 

が、めちゃくちゃおかしいかというとそこまでめちゃくちゃなわけでもなく、それがよけいに気持ち悪い。

 

この男はマジなのか?わざと演じてるのか?というのがよくわからない。気持ち悪がるアーロンと私たちをからかっているようにも見える。どちらにしてもやっぱりおかしいことに間違いはない。

 

アーロンもその気持ち悪さを切々と感じ始めていて、なんとか切り上げて帰ろうとするが――。

 

最後まで見れるかな、と思っていたが、結局ラストどういうとこに落ち着くのか見届けるまで目を離せなかった。ラストのアーロンの決断に「なんでやねん」と突っ込みをいれ、結末の湖のシーンに「嘘やろ」と再度突っ込んだ。

 

この映画はネタバレでストーリーだけ知っても意味がない。カメラをとおしてジョセフの気持ち悪さを直に体験するのが醍醐味だ。

 

劇場公開されない地味さもわからなくもないが、こういう映画が見れることを考えると、やっぱり動画配信てありがたいな。