もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

予想外なサスペンス感「エクソシスト3」と「ザ・ライト エクソシストの真実」

今年の夏にミーガンの予告でヴァチカンのエクソシストを見て、面白そうだったので見に行く予定だったのだが、気が付くと公開期間が終了していた。短!

 

その腹いせではないが、エクソシスト系の映画を配信で立て続けに見た。と言いつつも、元祖エクソシストも一回しか見ていない。

 

元祖エクソシストは、予告だけでトラウマになって、長い間見ることがなかった。意を決してテレビで見たときは、怖いというよりおぞましかった。また、悪魔という日本人には理解しがたい存在も、怖さとして受け入れにくかった。

 

ゆえに、悪魔祓いのエクソシスト映画はいまいち見たいとは思わなかったのだが――予想外に、ちょっと変わった視点から描いたこの2本は面白かった。

 

エクソシスト3

 

 

1990年、河畔で黒人の少年の首なし死体が見つかる。右手には双子座の記号が彫られていた。キンダーマン警部は、その手口が15年前に起きた連続殺人と似ていることに気づく。しかし、その犯人は捕まりすでに処刑されていた。

 

その後、残虐な事件は続き、連続猟奇殺人の様相を見せていく。それぞれの事件で犯行を可能にする人物は限られているが、同一人物でもなく、老婆であったりと、とても犯行に及べるような人物ではない。

 

不信をつのらせるキンダーマン警部は、精神病院の医師から自分が双子座殺人の犯人であると名乗る奇妙な患者がいることを知らされる―—。

 

この映画のホラーらしくないところは、首を切られていたり、体中の血を抜かれていたりなど、かなり残虐な殺し方をしているにも関わらず、その遺体が一切映らないことだ。当然殺しの場面もない。

 

悪魔にとりつかれた人間をこれでもかあ!とおぞましく見せてくれるのがエクソシスト映画のメインになるのに、こちらは猟奇殺人を追っていくサスペンスが主流になる。なので、おぞましさを期待している方には評価は低いだろう。

 

口コミの評価は高い方だが、こういう特殊な映画の評価はあんまりあてにならない。なんせ、元々好きな人が見るんだから。

 

この好きな人の中入る自分としては、けっこう面白かった。もっと退屈するかなとい予想に反して、ラストまで引っ張る力は十分にある映画だと思った。

 

 

「ザ・ライト エクソシストの真実」

 

 

アメリカの神学生マイケルは、神父を目指しながらも信仰というものに疑問を感じ始めていた。そんな折、恩師からバチカンエクソシスト養成講座への参加を勧められる。

 

気が乗らない彼は、養成講座でも講師に疑問をぶつけたりするなどして不信感をかう。そんな彼が会いに行くように勧められたのが一流エクソシストルーカス神父だった。

 

ルーカスの悪魔祓いを目にし、驚くべき超常現象を目撃していくことになる。しかし、マイケルにはまだ完全に受け入れることができない。悪魔祓いの対象になっている少女は、果たして本当にとり憑かれているのか。心の病気ではないのか――。

 

この映画の面白さも、このルーカスの視点にある。悪魔憑きというものの存在に疑問を生じている彼の言動がみどころだ。悪魔の存在を否定していく彼の実証や考えは、説得力がある。

 

それに対し、「まだわからないのか」といらだち嘆息するルーカス神父とのやりとりに、結果的にどんな方向に向かっていくのかとても興味深く見れる。

 

本当に悪魔憑きはあるのか。
その真実が、少女の豹変をきっかけに徐々に暴かれていく――。

 

この映画にもグロテスクな場面はほとんど出てこない。悪魔憑きの少女も通いで神父のところへ来ており、化け物感は無い。

 

拍子抜けしたようなマイケルに、「緑のゲロでも吐いてほしかったか」とルーカス神父がニヤリとする。ルーカス神父でさへも、エクソシストというものをちょっと皮肉な視点から眺めている。

 

とはいえ、ルーカス神父を演じるのはアンソニー・ホプキンス
きっともっと魅せてくれるだろうという予想にたがわず、しっかりと怖がらせてくれた。もう黙って立ってこっち見てるだけで怖いもの、あの方は。

 

今年の冬には新エクソシストも公開されるそうだが、まあこちらは見に行くかどうかは考え中。
その前に、ヴァチカンのエクソシストを見てすっきりしたい。