もくれんの映画日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

意外に明るかった「永遠に僕のもの」

予告編に騙されるパターンは多いけれど、これもまたその中に入るかも。
と言っても、いい意味です。

 

永遠に僕のもの [DVD]

永遠に僕のもの [DVD]

  • 発売日: 2020/02/04
  • メディア: DVD
 

 

実在した犯罪者たちの映画は、名作も多いのでけっこう見ているが、当然のことだけど結末が悲惨。捕まって死刑、捕まるまでに殺される、あるいは自殺。見終わって「あー、面白かったあ、スカっとしたあ」とはならない。
映画として面白いけど面白さが違う。

 

で、この映画。
1971年、アルゼンチンに実在した12人以上を殺害したシリアルキラー。この犯人が世界的に注目されたのは、17歳の少年であったことと、天使のような美少年だったこと。
“ブラックエンジェル”と呼ばれた彼の、狂気に満ちた犯罪の日々を描いたストーリー。

 

予告編を見ていると、初めて銃を撃ってからどんどん深みにはまり、とことん落ちていくイメージを受ける。予告編は冷酷な殺人鬼になりはてた彼が、悲し気なBGMと共にこぼした一粒の涙のシーンで終わる。
しかも、けっこう相棒とも特殊な仲になるようないわくありげなシーンがチラホラ。

 

だから正直ちょっと迷った。美少年を強調しすぎているのと、おバカな少年の悲惨な末路は特に見たいと思わなかったんだけど――。

 

予想以上に面白かったんです、これが。
予告編は、いい意味で裏切ってくれた。各シーンの並べ方次第でこんなに映画そのものの印象が変わるのかと。

ラストは涙で終わるのではなく、まさかこのシーンがラスト?
ただ、とても主人公のカルリートスという人物を表現するにはとてもふさわしく思えた。

 

ちょっとした盗みを悪いこととも思わないカルリートス。息子の更生を信じて疑わない過保護すぎる両親によって、新しい学校に転校するが、そこでラモンという青年に出会う。彼は家族共になかなかの悪党で、意気統合した2人は、数々の犯罪を繰り返し始める。ある日、盗みに入った家で、勢いで人を撃ってしまったカルリートス――。そこから彼の暴走が始まる。

 

 

 

 

他のシリアルキラー映画に比べて、犯人の欲望やギラギラしたものは伝わってこない。カルリートスにとって、盗みとそれに伴う殺人は同レベル。
最初から最後まで彼は淡々としていて、心のうちが読みづらい。
両親の様子を、相棒の言動を、表情も変えずじーと見つめているだけ。
見ている方がそこから彼の気持ちを読み取っていく。

 

犯罪実話映画の中では、異例だと思うが、全体的に明るい。(あくまでも個人の感想)
実際にはもっとエグイこともやらかしているのだろうけど、映画の中のカルリートスは、ドライでスマートだ。やはり金髪の美少年の風貌がものをいうのだろうなあ。

相棒に対する愛情表現も、意味深なシーンの割にはさほど感じず、結果的に彼にどういう感情を抱いていたのか、そっちの方が意味深。

 

本物に似せた髪型や容姿で、「そっくり」を演じた俳優さんは、なんとデビュー作だそうで、彼の色っぽさと独特なオーラがヒットの一因であることに間違いないだろう。

 

この殺人犯が異例であるのは、現在もまだ健在であること。だいたい死刑になっているのに、やはり少年だったということなのかな。りっぱな初老になったこの犯人は、人生のほとんどを刑務所で静かに暮らしているみたい。

 

先日、たぶん現在の姿とおぼしき写真を見てしまった。

あー、金髪があ~