ずっと見たいと思っていたミラ・ジョボヴィッチの代表作の1つ。
もうずいぶん前の映画になるのだなあと、彼女の若さを見てつくづく実感。
ジャンヌ・ダルクは自分にとって英雄というイメージよりも、なぜか悲惨なイメージの方が強いので、あまり見たい種類の映画ではなかったが、ミラ・ジョボヴィッチのジャンヌ・ダルクはやっぱり見たい。
悲惨でトラウマになりそう、などの話も聞いたことあるので、覚悟はしていたが思ったよりもエンターテイメント色が強くて迫力があった。
神の声を聞いて、奇跡の戦いに挑んだジャンヌの人物像は普通かなり神格化されている。勇猛で冷静、人並はずれた特別な姿で描かれることが多いが、この映画のジャンヌは予想外の人間味あふれる設定だった。
とにかく常に怒ったり叫んだりしている。湧き出る恐怖心を必死で押さえているのが伝わってくる。不安な表情が多い。本当にこれでいいのだろうかという不安や戸惑いの感情が、若きミラ・ジョボヴィッチの顔にしょっちゅう浮かぶ。
何でそこまでやれるのかなあ、というこちらの疑問は、そりゃあ神の声を聞いたからでしょ、となるのだが、その神の声を聞いたという根本的な奇跡もこの映画ではひっくり返してしまう。
負けるとわかっていた戦いを勝ったという彼女の存在そのものが奇跡であることは事実だが、神の存在って、宗教って結局何だ?というスタンスにもっていってるような気がして、小気味よい。
テレビやなんかではなかなか放送できないシーンも確かに多かったけど、それほど悲惨な感じがしなかったのは、やはり戦うジャンヌの向こうに戦うアリスをみてしまうからだろうか。
戦闘シーンは、まだ銃ではなく剣で戦うため、手や首が飛んだり、カラスに死体を食われたりとなかなかのリアルグロテスクだけど、日本の戦国時代もリアルにやればあんな感じかも。
ジャンヌ・ダルクがここまで聖人化され有名になったのは、十代の少女であったということがまず一番の理由なのだろう。指揮したのがおっさんだったら、奇跡の戦いというだけで個人的な英雄としてはここまで残らなかったような気がする。
そういえば、島原の乱の天草四郎も十代の少年だった。だから余計に有名になったんだ。映画ではジュリーがやってたな。
そういえばまた見たいなあ。