もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

映画より実話の方に興味がいった「ディアトロフ・インシデント」

実際に起きた謎の事件をベースにしたホラー映画。
始めはこの事件そのものをホラー仕立てに描いているのかと思ってたんだけど、違ってた。それはそれで面白かったけど。

 

 

1959年、まだロシアがソビエト連邦だったころ、雪山で起きた奇妙な事件。
登山をしていた男女9人が全員遭難死するが、その死にざまが非常に不可解だったことで騒ぎになった。

 

マイナス30度の極寒の中、薄着と裸足で発見された遺体。残されたテントは内側から破った形跡があった。頭蓋骨などを骨折していた者、目の玉や舌を失っていた者など――
そして何より不可解だったのが、何体かの犠牲者から高い放射線物質が検出されていたこと。

 

ロシアは雪崩によって起きた事故という見解を発表したが、今なおさまざまな憶測が取りだたされている。

 

映画ではこの事件そのものではなく、この事件を追って真相を探るべくドキュメンタリー映像を作ろうと、同じ時期に現地に向かった学生たちのグループが残した映像が描かれている。
つまり緊迫感満載のモキュメンタリ―方式の映画。

 

冒頭、ディアトロフ事件について学生たちが詳しく説明してくれるので、この事件のことを知らなくてもじゅうぶん事前の知識は得られる。この事件そのものの不可思議な部分や疑惑を持たれている当時のロシア軍のことなど、前振りとして知っておく必要があるからだ。

 

ホラー映画なので、盛ってあるんだろうなあとは思っていたが、ここまで荒唐無稽なストーリーとは思わなかったのでちょっとびっくり。

 

でも映画としては面白かったし、緊迫していく展開からは目が離せないので、一気に見てしまう。

 

こういうたぐいの事件は、謎のまま残っている方が絶対面白いわけで、できれば人知を超えたものであってほしいと思っている人の方が多いと思う。まあソビエトの陰謀であってもそれはそれで興味深いけど。

 

がっつりとした実話系は、謎をはっきり解明しないで終わるというのが多いけど、こちらは学生が同じ道をたどるという形なので、しっかりホラーとして解決してくれる。真相はこうだったら面白いなあという要素をめいいっぱい盛り込んでくれた感じ。

 

正直、この映画は映画よりもディアトロフ事件の方に興味がいく。そんな方も多いようで、漠然としか知らなかった自分としてもすごく勉強になった。

 

この事件の謎が深くネックになっているのが、隔絶された場所で結果全滅していることだろう。生存者も目撃者もいないというのが謎を深くしている。
遺族は雪崩説に当然納得していないようだ。

 

彼らは決して素人ではなく、雪山にも慣れていたらしい。しかもこの山は雪崩が起きにくい場所だったという。もし雪崩が起きたとして、原因は何だったのか。そして放射線はどこから来たのか。

 

60年以上前のロシアの雪山で、いったい彼らに何があったのか。
不謹慎だけど、考えるだけでも楽しい。