10足セットの安売り動物柄靴下をはいて、セこく生活しているステファニーは旦那と死別し保険金で暮らしているシングルマザー。
華やかなファッション業界で働き、作家の夫と仲良く暮らすセレブな女性エミリー。
普通なら関わることもない二人が、ママ友として親友になる。
思えば確かにそういうとこあるんよなあ。
ママ友の交友関係って、子供の交友関係で作られたり左右されるんよなあ。
この二人も子供の「遊びたい!」という一言ではじまり、結局意気投合することになる。しかし、この映画の題名である「ちょっとしたお願い」が事件のきっかけになった。
仕事で学校に子供を迎えにいけなくなったエミリーは、ステファニーに子供のお迎えを頼む。子供を家に連れ帰った彼女だったが、深夜になってもエミリーは迎えに来ない。なんとエミリーはそのまま行方不明になってしまうのだ。
ステファニーは独自に親友の行方を捜し始めるーーという展開で、当然見ている側は彼女に味方しながら見るはずなのだが、この映画は不思議とどのキャラクターも好きになれない。
みんなが敬遠する学校の役も率先してこなし、得意の料理作りも配信して、思いっきりママ生活を楽しんでいるステファニーは、常に一生懸命でまわりから“聖人”とすら呼ばれている。
なのにがんばれと素直に思えないのは、ママたちの嫌な部分でもあり、憧れの部分でもあるからだ。それはエミリーにも言える。
ステファニーは真相を見つけるため、エミリーの過去を探っていくが、やりすぎだろとつっこみたくなるくらい突撃していくさまは、のぞき見感を十分満足させてくれる。
犯人は誰だとか、その真相は反則だろとか、余分なシーンが多すぎるとか、サスペンスとして楽しもうとしたら突っ込みどころは満載だと思う。これはそういう楽しみ方をする映画じゃないということが、みているうちにわかってくる。
まったく違う性格と生活をしているタイプの違うママ友の二人は、決して聖人でも小ジャレママでもなく、かつて女であり、今も女である。
だからといってママになっても恋がしたい、素敵な女でいたいという気持ちになるのか、というとせせら笑われそうだ。
彼女たちに男はいらないのだ。
最終的に彼女たちが一番大切にしたかったものは何なのか。
コメディ感たっぷりで、絶妙にダサくておしゃれで楽しめた。
かつて自分のまわりにいたいろんなママ友たちが頭をよぎった映画でした。