Netflixで配信されていたので、さっそく見ました。
どっちかっていうと、「スケアリーストーリーズ」の中の1つに入っていそうな物語。
スマホの中に棲んでいる友達がほしい孤独な化物。
そいつに目をつけられたのが自閉症の少年。この子がまた美形ったら!
少年をいじめる悪ガキ。この子がまた、こ憎たらしい面構えったら!
少年オリヴァーをスマホの中に連れて行こうと画策する化け物だが、それを邪魔するパパママにまで魔の手が伸びて――
わかりやすく目新しい設定は何もない。激しい驚かしやグロさのホラーを期待して見る人は肩透かしをくらうだろう。
とはいえ、最後まで読んではいけないラリーの物語アプリの設定や、深夜の駐車場での不気味な雰囲気はけっこう惹きこんでくれる。退屈はしない。
オリヴァーはスマホを介してしか話ができない子なので、現代のスマホ狂いの世の中への風刺的部分が主なテーマなのかなと思ったりしたが、意外と主張したいのはパパとママの方なのかなあ、とも。
オリヴァーがバイロンという友達を無くしたのは、どうやらママ友どうしのゴタゴタにあるようだが、あまり詳しくは語られていない。
語られてはいないが、ママの発言やかつてのママの言動が、今のオリヴァーの現状に影響を与えているように思える。というか、そういう感じに描かれている。
パパもママにまかせきりで、ママの癇癪を疎ましく思っている。
だからといって、パパもママもオリヴァーのことをとても愛しているし、必死で彼を守ろうとする。
何かがかみ合っていないのだ。
この映画をみていて、かつて幼稚園のママ友たちの間で起こったいろんないざこざが浮かんだ。壮絶にもめまくって結局幼稚園をやめてしまった子も出た事件もあった。
そんなことは極端な出来事ではあるけれど、自分のちょっとした言動は、子供にとってはホラーだと思う。子供にとって都合のいい嘘ではなく、自分にとって都合のいい嘘をついてしまうものだ。
それは虐待ではなく、自分も楽しみたいし、しんどい思いしたくないという、つまりは自分本位、自分優先のちょっとした傲慢。
自分も過去に戻って、「すまぬ」と子供に頭を下げたいことはいっぱいある。
だからこそ、この映画のラストは壮絶悲惨。
ありふれたストーリー展開に隠された、ありふれた子育てへの辛辣な皮肉。
ところで、この映画みていて、いろんな映画の場面思い浮かんだんだけど。ラリーのフォルムとか、彼が手を差し伸べる場面とか、我らが日本のホラーヒーロー貞子なんかも。偶然なのかな。