タランティーノの映画は、いつものことだけどちょっとしたゾンビ映画よりも凄まじい。絶対ご飯食べながら見れません。
密室殺人みたいな宣伝文句だったので、本格謎解きっぽい内容なのかなと思っていたけど謎解きではないな。雪に閉ざされた山小屋で連続殺人がバシバシ起こるので、密室の殺人には間違いないけど、犯人が誰だとかそういう問題ではない。
ただ、ストーリー展開が面白い。吹雪の中、山小屋に閉じ込められた8人の人間。馬と拳銃が必需品の時代、賞金稼ぎや新米保安官、絞首刑人などややこしそうな人々が一堂に会する。
お互いが少しずつ知り合いであったり、敵対する相手であったり、何者かわからないやつであったりと油断がならない。何かが起こりそうな気配がむんむんする中、最初の殺人の火ぶたが切って落とされる。
かなり長い映画で、前半は会話にまみれて字幕だと目を離す瞬間が無いタランティーノ特有の展開だが、そこでサミュエル・L・ジャクソンを筆頭に8人それぞれの人物像が頭に入れられるし、交わされた会話の内容1つ1つが、ラストを含め後々のシーンや展開を大いに形づくっていく。
とにかく血も涙もないやつらばかりなので、最初の殺人で殺された男の死体もとっとと外に運び出して終わり。しかし事件は実はこれからで、拳銃の打ち合いとは違う毒殺事件が勃発する。
おそらくこの部分が密室殺人といわれるゆえんなのだろうけど、犯人はわからない。この展開だけ確かにミステリーっぽく、理論的な推理によって犯人が絞られていくかに見えた。
しかし、さすがタランティーノ監督、そこで問答無用の展開をぶち込んでくる。まさにどんでん返し映画という声も聞かれるほどの、すべての謎解きともいえる顛末。
タランティーノの映画は、映画をスキップしながら見る人には絶対に向いていない。おそらくどこでスキップしたらいいのかわからない。
だるい展開がしんどいなら、BGMにしてしまえばいい。実際自分はそうして育ってきた。映画垂れ流しじいちゃんばあちゃんの家で、違うことして遊びながら居眠りしながら。
ゆえに、ラストだけ知っているという悲劇も時には訪れるが。
側でしゃべっている大人たちのだるい会話と、映画の退屈な部分は同じレベルだったのだろう。スキップできない。ならばBGMにしてしまう。
それでもこんなに映画好きになった。意識は居眠りしてるけど、脳は意外と無意識にいろんなもの拾ってくれていたのかもしれない。