もくれんの映画と読書日記

趣味のかたよった読書と映画鑑賞の日記です。

じじばば予備軍も要注意の「じじばばのるつぼ」

帯に書かれている「TPO無視時事」「レジで世間話ばば」などの目次だけで、どういう本なのかわかる。しかも群さんのエッセイだ。面白くないわけがない。

 

 

予想通り、ちまたに溢れる困ったじじばばや笑えるじじばばの言動を、作者の体験を踏まえて面白く読ませてくれる。

 

ほとんど誰もが「ああ、いるいる」と納得するじじばばたちが登場して、全国共通のものなんだと実感させられ、笑いながらため息ももれたりする。

 

「ばばのファッション」や「ラブホじじ」なんかは、すげえなあと感心するだけだが、他人に迷惑をかける言動は身近で体験したりすると、ほんと困るし迷惑をこうむることも少なくない。

 

ただ、感じたのは、その迷惑行為や変な行動がじじばば特有のものではない場合も少なからずあるということだ。

 

本の中でも書かれているが、たとえば通勤電車で痴漢行為をしていた男は、じじになって通勤電車に乗らなくなったらどうするか。はたして痴漢を辞めるのか?

 

ヒステリックなおばばと題しながら、感情を抑えきれないおばさんたちの言動も書かれている。確かに、このたぐいは年齢とは関係ない。むしろ困った性格や習性の問題だ。それがじじばばになっても治らず、一段と自分を追い詰めたり、問題を引き起こしてしまうということ。

 

そのダントツともいえる社会的問題が、高齢者ドライバーなのだけど。
確かに自分の近辺でも思い当たる。


かつて近所では高齢ドライバーが多く、「あの車、無人だ」と思ったらばばあが運転席に埋もれながら運転していたり、「あの車、タイヤの回転が目で追える」と思うほど超絶徐行のばはあ運転車がいたりした。

 

恐ろしいめにもあったが、幸いなことにうちの近所のジジババ車はさほどスピードを出していなかったので、大惨事は招きにくい状況にあった。

 

そのじじばばたちも、年月とともに施設やあの世に引っ越し、しばらくはママ車(自分を含めこれはこれで怖かったが)、比較的じじばば運転は少なかった。

 

しかし、最近増えてきたのがじじばば予備軍ともいえる、定年後じじいだ。一時停止しない、徐行しない、対向車を待たない、「危ねー」と思った車の運転席を見たらだいたいじじい予備軍だ。

 

なまじ若いだけに、たちが悪いのがスピードをそこそこ出していること。坂を上ってきてカーブを曲がりきれず歩道に突っ込んでくる車に逃げ惑ったこともある。

 

もちろん、うちの近所だけの現象かたまたまなのかもしれないが、本に書かれているじじばばたちの言動には、すべて予備軍が存在するということを予感させてくれる。読んで笑っていられないことも、きっと多々あるのだ。

 


先日お疲れさまイベントで利用した4つ星のレストランで、隣の席の旅行者らしき夫婦の旦那が、「値段が高い」「マグロが小さい」「冷房が強すぎる」など文句をたらふく並べ立てていた。

自分が行く店の日本酒は500円だそうだ。どこの4つ星ホテルに500円の日本酒があるんだか。旅慣れていないのか、一流ホテルに来たことがないのか、特別感を満喫したいこちらとしては、聞いてるだけでも気分が悪く、とっとと帰れと思った。

 

こういうのもやっぱり立派な予備軍で、数年後には困りじじになるんだろう。
本を読みながら、じじばばの言動にうなずきながらも、ふと自分自身のことも考えてしまう、さりげない注意喚起もある内容だ。

 

ちなみに、自分が一番やばいなと思ったのが方向音痴ばばです。