まさに題名どおり女たちが話しているだけの映画、ということでいったいどんな感じなんだろうと見てみた。
テーマは閉鎖的なコミュニティ、女性蔑視、そして性暴力。
重たいテーマ満載でありながら、女性たちの議論の中にいつの間にか加わって、気が付けば真剣に耳を傾けていた。
自給自足の生活を続けていたある村では、女性たちがたびたび薬をもられてレイプされる。しかし、それは悪魔の仕業と言われ、あるいは妄想として抑え込まれる。
宗教的教えとコミュニティの圧力で、薄々何かしら気づきながらも耐えざるを得なかった女性たちだったが、ある出来事をきっかけにして、それが男たちによる犯罪だったことが明らかになる。
男たちが不在の二日間、村の女性たちが集まって話し合う。
「村を出ていくか」
「何もなかったようにこれまでどおり暮らすか」
あるいは「戦うか」
外では無邪気な子供たちが楽しく遊ぶ。
しかし、その子供たちにまで魔の手は忍び寄っていた。
当然女たちもさまざまなタイプがいて、それぞれの意見がぶつかり合う。
最後に彼女たちがくだす結論が気になって、絶対途中で投げ出せない映画だ。
脚本が素晴らしいと思う。
ここまで惹きこまれる話し合いはめずらしい。もちろん途中でいろんなおぞましいエピソード場面は入るが、だんだんと話し合いが煮詰まってくる状態にこちらのテンションも上がる。
泣いたり叫んだり、ほぼ修羅場になりかけたりもする。「あーもおー、こういうヤツしんど」「とりあえず落ち着こ」と、自分もしっかり参加している。
もしかして、分裂してしまうっていうのもありか…?
もちろん脚色はあるだろうが、これが実話であるということと、2000年以降の話だということに心底驚く。
悲惨な事件を描きつつも、女性たちの言動に爽やかさすら感じてしまうのは、タブーやうやむやにされてきた問題を、それぞれがはっきりとした意思をもって発言しているからだろう。
彼女たちの姿からは被害者というよりは、これから前向きに生きる女性ならではの強さみたいなものが感じられる。
この映画を見ていると、男ってクソだな、という感想が不思議とわかず、それ以下のものとして見てしまうので悪意もわかない。怒りとかをぶつける対象にもならない存在だ。
まあ男たちがほぼ出てこないっていうのもあるんだけれど。一応、きちんとした人も1人は出てくるし。
男がどうこうというよりも、女性として生まれた以上、自分たちに立ちはだかってくる問題にどう対処していくべきかという視点で考えさせられる。
「出ていくべきか」
「なかったことにするか」
あるいは「戦うか」
知らなかったんだけど、この映画ブラピが総指揮に関わっていたのに驚いた。やっぱりあの人ちょっと違うなあ。